音声分析機能の音響センサー

5月, 2025

概要

音声に関するプライバシーの懸念を軽減しながら、エッジベースの音声分析機能の多くの利点を活用するために、マイクの代わりに音響センサーを搭載したカメラがあります。 音響センサーにより、カメラの音声分析機能は音波を検知し、測定することができますが、音声をストリーミングしたり保存したりはできません。分析機能から出力されるのは、デシベルレベル、周波数の情報、カメラのアラートやイベントのトリガーに設定できるその他の非個人データなどの音声メタデータです。

音響センサーが搭載されたカメラには、ソフトウェアによる制限が実装されており、音声サービスへのアクセスが排除されています。たとえば、Axis OSには音響センサー用の音声ストリームAPIがありません。つまり、ユーザーもアプリケーションも、音声のストリームや保存を開始することはできません。

Axisが販売する製品やソリューションにおいて、製品の使用が適用される個人情報保護法に準拠していることを確認する責任は、製品またはソリューションのユーザーにあります。Axisは、お客様のコンプライアンス遵守を容易にするための製品設計に努めています。Axisは、音響センサーとソフトウェアバリアを搭載したカメラを提供することで、音声監視においてよりプライバシーに配慮したソリューションを実現し、センシティブな音声情報をストリーミングしたり保存したりすることなく、音声データの分析を可能にしています。

はじめに

カメラにマイクの代わりに音響センサーが搭載されている場合、そのカメラは音声をストリーミングまたは保存しません。このセンサーは、カメラの音声分析機能がエッジでの分析のために音波を検知し、測定することを許可しますが、センシティブなデータの保存やユーザーからのアクセスはできません。

このホワイトペーパーでは、音響センサーについて説明し、音響センサーがもたらす可能性の概要を提示します。 

背景

Audio Analytics

音声分析機能は、音の特性を分析し、非音声の出力を生成します。  

音声分析機能は、悲鳴、ガラスの破壊、音量の急激な変化などを検知するために使用されます。音声分析機能は単独でも、映像監視と組み合わせても使用できます。 

ビデオ分析を使用している場合、音声分析機能を追加することによって、検知の信頼性を大幅に向上させる別の次元の認識が可能になります。特にこれは、低光量などの状況でビデオ分析が制限される場合などに当てはまります。  

音声分析機能と映像監視を組み合わせたシステムは、発生中の潜在的なインシデントをオペレーターに通知し、関連のカメラの表示へ注意を導くことができます。これにより、早期発見と迅速な介入が実現し、多くの場合、インシデントの悪化を防止することが可能となります。音声分析機能は時間とコストを節約するだけでなく、個人のプライバシーを守る自動化されたイベントを作成できます。

音声分析機能によるプライバシー保護

多くの環境では、映像監視におけるマイクの使用に関する懸念があります。通常、そのような懸念は、映像に伴う平易な話や、プライベートな会話を誰かに聞かれる可能性があることに関連付けられます。音声データを使用するか映像データを使用するかによって、監視を規制する法律も異なってきます。

ただし、音声を検知するのと音声を録音するのには違いがあります。音声分析機能は入力音声を録音せず、それをカメラから送信しません。代わりに、特定のパターンやレベル、周波数を探すことだけを行います。分析機能を (カメラ内の) エッジで実行する場合、音声をカメラから送信する必要はありません。実行された分析の結果、つまりメタデータやトリガーのみがカメラから送信されます。 

音響センサー

音響センサーが搭載されたカメラは、音声のストリーミングや録音をサポートしていません。カメラに実装された分析機能は、入力音声をスキャンしてメタデータを生成しますが 、音声はカメラから出力されません。音声分析機能は音声のみのユースケースです。出力されるのは、デシベルレベル、時間経過に伴う異なる周波数のエネルギー、アラート、イベントなどの音声メタデータのみです。音響センサーが搭載されたカメラは、個人データをストリーミングしたり保存したりしないため、プライバシー権を侵害するリスクを最小限に抑えることができます。

音響センサーが搭載されたカメラ、音波のスキャン (1) からユーザーへのアラート (4) まで 。
  1. 音響センサーのマイクが音波をスキャンする。
  2. 音声分析機能がデシベルレベル、悲鳴、怒鳴り声 (または特定の分析機能が探しているもの) を検知する。
  3. 音声分析機能により、イベント通知などのメタデータが生成される。 
  4. イベント通知とメタデータに基づいて、関係者にアラートが発信されように設定できる。関係者はビデオストリームをチェックすることで、状況を確認することができます。
  5. 音声ストリーミングはありません。

音響センサー搭載カメラのAXIS OS

Axisデバイスは、オペレーティングシステムAXIS OSで動作します。これはLinuxベースで、通常はLinux標準のオーディオシステム (ALSA/PipeWire) を使用します。ただし、音響センサーが搭載されたカメラには、ソフトウェアによる制限が実装されており、音声サービスへのアクセスが排除されています。たとえば、Axis OSには音響センサー用の音声ストリームAPIがありません。つまり、ユーザーもアプリケーションも、音声のストリームや保存を開始することはできません。カメラのWebインターフェースには音声ストリーミングやストレージオプションがなく、カメラを導入したVMSやその他のシステムから音声サービスにアクセスすることもできません。

Axis OSは、Axis Edge Vaultが有効にするいくつかのサイバーセキュリティ機能によって保護されています。たとえば、署名付きOSという機能は、ソフトウェアの改ざんからデバイスを保護します。Axisが署名したソフトウェアのみインストール可能で、他のソフトウェアに置き換えることはできません。

さらに、音響センサーを搭載したカメラは、rootアクセスが削除されたソフトウェアバージョンであるAxis OS 12.0以降で動作します。つまり、ユーザーやアプリケーションが、ssh経由の手動録音を通じて音声ストリームにアクセスすることはできません。Axis OSのrootアクセスの削除やその他のサイバーセキュリティ対策については、AXIS OS Portalをご覧ください。

このソフトウェアによる制限によって、音響センサーはよりプライバシーに配慮した音声監視のソリューションとなっています。個人情報と結びついたセンシティブな音声情報を保存しない音声分析が可能になります。

免責事項

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