装着式カメラ内蔵バッテリーの状態
概要
Axis装着式カメラのリチウムイオンバッテリーは、他の充電式バッテリーと同様に、時間の経過と使用によって劣化する消耗部品です。バッテリーの容量が低下すると、充電間の最大動作時間が短くなります。
バッテリーの劣化は避けられませんが、いくつかの要因によって変化します。
温度 — 寒さはバッテリーの化学反応を遅らせたり止めたりし、熱は化学反応を加速させます。どちらの現象も一時的または恒久的な容量損失を引き起こします。
充電残量 — バッテリー内部の化学反応も電圧によって駆動され、充電残量に直接関係します。バッテリーを完全に充電または放電した状態で保管すると、回復不可能な容量の減少を引き起こすことがあります。
充電サイクルの合計回数 — 充電サイクルを完了する (バッテリー容量の100%が放電される) たびに、バッテリーの容量は少しずつ減少します。そのため、バッテリーの充電サイクルの合計回数は、バッテリーの現在の状態を知る上で重要な指標となります。
ユーザーの行動 — 使用頻度が高いと充電サイクルの回数が増えるため、バッテリーの寿命が短くなります。カメラのプロファイル (解像度の設定など) や使用方法 (ユーザーの頻繁な操作など) により、消費されるバッテリーの電力量は異なります。
Axis装着式カメラには、温度に応じた適応充電や低充電残量時の自動シャットダウンなど、バッテリーを保護するために特別に設計された機能がいくつか搭載されています。また、AXIS Body Worn Managerには、充電間のカメラの動作時間を最大化するための、事前定義されたカメラプロファイルがあります。
バッテリーは、バッテリーの状態に関するガイドラインに従う限り、500回のフル充電サイクル後、元の容量の80%以上を提供するように設計されています。Axisでは、500回サイクルを完了したらバッテリーを交換することを推奨しています。
はじめに
本ホワイトペーパーでは、Axis装着式カメラに使用されているバッテリーに関する情報を提供しています。バッテリーの状態に影響を与える主な要因と、バッテリーの保護に役立つカメラのバッテリーに優しい機能について説明します。また、バッテリーの寿命と動作時間を延ばすために、ユーザーとしてできることについてもご紹介します。
Axis装着式カメラのバッテリー
Axis装着式カメラは、電源として充電式のリチウムイオンバッテリーを使用しています。このタイプのバッテリーは、他のタイプのバッテリーと比較して、軽量で大容量、長寿命、短時間による充電を提供するため、携帯電話やノートパソコンなどの電子機器に広く使用されています。
リチウムイオンバッテリーは、他の充電式バッテリーと同様に、時間の経過と使用によって必然的に劣化する消耗部品です。劣化によってバッテリーの容量が低下すると、充電間の動作時間が短くなります。
バッテリーの状態に影響を与える要因
バッテリーメーカーは、実験室環境におけるバッテリーの劣化率に関する統計を提供しています。しかし、実際の環境では、以下の影響を強く受けて、大きく逸脱する可能性があります。
周囲温度や充電温度などの環境条件。
高解像度、位置データ、ワイヤレス接続など、カメラの消費電力に影響を与える機能の使用。
気温
リチウムイオンバッテリーの機能は化学反応に依存しているため、温度が大きく影響します。
寒さはこれらの反応を遅らせたり止めたりし、一時的あるいは恒久的な容量損失を引き起こします。そのため、極寒の天候下でカメラを作動させると、動作時間が短くなります。0 °C (32 °F) 以下で充電すると、深刻で不可逆的な容量損失を引き起こすことがあります。
熱は化学反応を促進し、一時的あるいは恒久的な容量損失を加速します。これは、日光の当たる場所に停めた車のダッシュボードにカメラを放置した場合などに起こり得ます。
周囲温度が指定された温度範囲を上回るまたは下回る環境下で装着式カメラを使用、充電、または保管すると、バッテリーに不可逆的な損傷を与える可能性があります。
下限 | 上限 | 最適なパフォーマンス | ||||||||||||
動作温度 | -20 °C (-4 °F) | 55 °C (131 °F) | ||||||||||||
充電時周囲温度 | 0 °C (32 °F) | 40 °C (104 °F)(1) | ||||||||||||
保管温度 | < 3か月 | -20 °C (-4 °F) | 45 °C (113 °F) | 25 °C (77 °F) | ||||||||||
> 3か月 | 23 °C (73 °F) | 27 °C (81 °F) |
- 充電時の周囲温度が35 °C (95 °F) を超える場合、バッテリーは全容量の70%までしか充電されません。これは、バッテリーを保護するためです。
バッテリーの異常な劣化の可能性を追跡するため、推奨温度以外でのカメラの使用は、装着式システムレポートに自動的に登録されます。このような情報は、故障したバッテリーがAxis保証の対象であるかどうかを、Axisサポートが判断する際にも役に立ちます。
充電残量
バッテリー内部の化学反応も電圧によって駆動され、充電残量に直接関係します。バッテリーを完全に充電または放電した状態で保管すると、回復不可能な容量の減少を引き起こすことがあります。
バッテリーが満充電になると、非常に活発な化学反応によってバッテリーの劣化が加速します。そのため、長時間にわたりドッキングステーションに置いたり、USB-C充電器に接続したりしたカメラは、不要な容量損失を起こす可能性があります。
バッテリーは使用していないときでも、時間とともに自己放電します。充電残量が非常に低い状態で3か月以上カメラを保管すると、バッテリーが過放電になり、恒久的な損傷を受ける可能性があります。また、カメラは少なくとも年に一度は使用し、バッテリーを放電させて、再び通常の方法で充電する必要があります。これにより、バッテリーを活性化させ、エネルギーを回復させることができます。
充電サイクルの合計回数
充電サイクルを完了するたびに、リチウムイオンバッテリーの容量は少しずつ減少します。そのため、バッテリーの充電サイクルの合計回数は、バッテリーの現在の状態を知る上で重要な指標となります。この数字は、装着式システムで確認できます。
充電サイクルは、バッテリーの容量が100%放電されると完了します。カメラの日々の使用状況によっては、充電サイクルが完了するまでに数日かかる場合があります。
例:フル充電でバッテリーが15時間持続するようにカメラを設定したとします。ユーザーの勤務シフトが10時間の場合、1回の充電サイクルは1.5日の勤務後に完了すると見なされます。
Axisの装着式カメラに内蔵されているリチウムイオンバッテリーは、500回のフル充電サイクルで80%以上の容量を提供するように設計されています。上記の例では、これは約750日 (約3年) に相当します。
リチウムイオンバッテリーは、一般的に500回の充電サイクルを過ぎると劣化が加速します。そのため、Axisでは、500回の充電サイクルを完了したらバッテリーを交換することを推奨しています。
カメラの使用状況
バッテリーの日々の使用量は、劣化の速度に直接影響します。使用頻度が高いと充電サイクルの回数が増えるため、バッテリーの寿命が短くなります。
同じ環境条件、同じ期間で、カメラプロファイルと使用方法の異なる2人のユーザーが、同じ量のバッテリーを消費するとは限りません。下の表はその違いの例を示したものです。両者とも25℃で1日2時間録画し、プリバッファオプションを使用したと仮定した場合、最大動作時間の差は2時間です。
ユーザー1 (カメラプロファイル: 動作時間に最適化) | ユーザー2 (カメラプロファイル: カスタマイズド) | ||||
ビデオストリーム | 720p @ 30フレーム/秒、H.264 | 1080p @ 30フレーム/秒、H.264 | |||
位置データ | オフ | オフ | |||
アンホルスター検知 | オフ | オフ | |||
AXIS Body Worn Assistant | オフ | 時々オン | |||
落下検知 | オフ | オン | |||
LEDディスプレイ | ユーザー操作なし、通常の輝度 | 頻繁なユーザー操作、高輝度と通常輝度の混合 | |||
結果、残り動作時間 (新品のバッテリー、25℃、プリバッファON、録画2時間) | 17時間 | 15時間 |
バッテリーに優しい設計
Axisの装着式ソリューションは、バッテリーを長持ちさせるための機能をいくつか備えています。
アダプティブ充電
アダプティブ充電機能は、バッテリーの温度に応じて最大充電電流と電圧を調整するため、バッテリーを傷めずに最速でカメラを充電することができます。温度データは、バッテリー保護基盤の温度センサーから数秒おきに読み取られます。つまり、充電時間は周囲温度によって変化します。通常の室温では、ドッキングステーションで約3.5時間、またはUSB-Cケーブルで約4時間の充電で、バッテリーが完全に充電されます。高温時の自動シャットダウン
カメラの内部温度が高くなりすぎると、カメラはバッテリーを保護するために自動的にシャットダウンします。これは、カメラを車内に放置した場合などに発生します。低充電残量での自動シャットダウン
保管中の過放電を防ぐため、充電残量が0%に近づくと、カメラはシャットダウンします。高温時の充電制限
バッテリーを保護するため、周囲温度が35 °C (95 °F) を超える環境で充電が行われる場合は、70%の充電制限が適用されます。非使用時の充電制限
保管時の高充電レベルによる不要な容量損失を避けるため、カメラが装着式システムに接続されていない場合は、60%の充電制限が適用されます。これは、AXIS Body Worn Managerを介して、カメラをまだ装着式システムに追加していないとき、およびカメラを装着式システムから取り外した後に適用されます。動作時間を最適化するカメラプロファイル
AXIS Body Worn Managerには、あらかじめ定義されたカメラプロファイル、Optimized for Operation Time (動作時間に最適化)があり、直接または参照用として使用することができます。このプロファイルを適用する、またはプロファイルと同じ設定を使用することで、カメラの動作時間を最大化することができます。例えば、720pの解像度を使用する、位置情報を使用しない、前面録画インジケーターをオフの状態に維持する、などの設定が可能です。動的LED制御
カメラのLEDはかなりの電力を消費します。省電力化のため、周囲の明るさに応じてLEDの輝度を動的に調整します。周囲の照明が明るいほどLEDの輝度は高くなり、暗いほど低くなります。
バッテリーの状態に関するガイドライン
Axisではバッテリーのパフォーマンスを最適化するために懸命に取り組んでいますが、バッテリーの寿命は最終的にはユーザーの手に委ねられます。カメラを使用、充電、保管する際に、バッテリーの状態に関するガイドライン (本書に記載されている要素に基づく) に従うことで、バッテリーを長持ちさせることができます。ガイドラインは、カメラのユーザーマニュアルに記載されています。Axisは、装着式カメラの製造、設定、輸送において、同じガイドラインを遵守しています。例えば、Axisのコンフィギュレーション&ロジスティックセンター (CLC) では、すべてのユニットを3か月ごとに充電しています。
バッテリー交換とAxis保証
Axisの装着式カメラに内蔵されているバッテリーは、500回のフル充電サイクル後、元の容量の80%以上の容量を提供するように設計されています。完了した充電サイクルの現在の回数に関する情報は、装着式システムで確認できます。Axisでは、500回サイクルを完了したらバッテリーを交換することを推奨しています。
Axis装着式カメラは、Axisの3年間の制限付きハードウェア保証の対象です。つまり、バッテリーの製造上の欠陥は、カメラの他のコンポーネントの製造上の欠陥と同様にカバーされます。バッテリーの劣化は、通常の磨耗や劣化とみなされるため、保証の対象外となります。