フルフレームレートの制御

監視カメラは時として、部分の詳細を正確にキャプチャーすると同時に、素早い動きを確実にキャプチャーする必要があります。そのためには、カメラがフルフレームレートを維持できる必要があります。Axisカメラは、画質を損なうことなく、25 fpsや30 fpsのフルフレームレートなど、設定した1秒間あたりのフレーム数（fps）を維持するように設定できます。ただし、指定されたこのフレームレートは、特にレコーダーやセキュリティセンターまでを含めた場合、システム全体で100%保証されることはありません。

本書では、フレームレートの制御に関する背景と、カメラがフルフレームレートを維持できるようにするために考慮すべき点について説明しています。

フルフレームレート（25または30 fps）に制御する必要がある典型的なシナリオとしては、現金を扱う場所、例えば銀行窓口や両替所があります。高画質であれば紙幣の額面を確認することや、カジノでトランプのスートやランクを確認することもできます。フレームを逃さない監視カメラは、現金の流れの厳密な管理を可能にします。

Axisカメラは、高画質を維持しながら、電源周波数に応じて25 fpsまたは30 fpsなど、設定したフレームレートを提供するように設定できます。ただし、30 fpsのフレームレートを最大限に活用するには、カメラからルーター、ネットワーク接続、サーバーを経てビデオ管理システム（VMS）に至るまで、フレームレートを維持する必要があります。

ネットワークシステムには、作成されたビデオの量を管理するのに十分なサーバー容量が必要です。システムの速度は、最も遅いコンポーネントや装置の速度を超えることができないため、ストレージ、ネットワークトラフィック、ルーター、サーバーも、入力されるすべてのデータを処理するのに十分な速度が必要です。

システム全体のフレームレートを維持する方法の詳細については、本ホワイトペーパーでは触れません。ただし、カメラに関しては、いくつかの点を考慮する必要があります。要約すると、カメラにデフォルトの最高シャッター速度（1/30秒）を使用させ、次のセクションで詳しく説明するように、他のカメラ機能よりもビデオストリーミングを優先させる設定にする必要があります。

Axisのカメラは通常、フルフレームレートの映像を提供します。しかしながら、歪み補正、分析機能、イベント処理、音声などといった機能を使用する場合には、パフォーマンス（フレームレートや画質）との間にトレードオフが生じます。プロセッサの処理能力を多く必要とする機能を使用する場合、特に光源レベルが大きく急激に変化するような厳しい状況下では、カメラが偶発的にフレームを失うことがあります。

カメラがフルフレームレートを優先できるようにするため、以下の点を考慮してください。

• 撮影シーンの照明を均一にして好ましい状態を保つようにする。

• カメラの設定を変更する必要がある場合は、できる限りVMSから変更する。カメラのローカルで設定すると、VMSがそれを上書きする危険性がある。

• デフォルトの最高シャッター速度（1/30秒）とデフォルトのキャプチャーモード（25または30 fps）を使用する。

• 外部ストレージを使用する。SDカードによっては、データの保存速度が十分でない場合がある。ただし、SDカードをカメラに挿入しておくことで、ネットワーク障害が発生した場合でも、フレームは落ちるかもしれないが、録画は可能である。

• H.264またはH.265ビデオ圧縮を使用する。Motion JPEGではフレームレートが低くなる可能性がある。

• Zipstreamを使用することで、ストレージとネットワークトラフィックの帯域幅を削減できる。

• 必要に応じてWDRを使用する。これによってフレームレートが低下することはない。

• ビデオ分析機能や音声は使用しないこと。

• 電子動体ブレ補正（EIS）やたる型歪曲の補正（BDC）は有効にしないこと。これらはデフォルトでオフになっている。

実際的な推奨設定の詳細については、カメラまたはVMSのマニュアルを参照してください。通常、設定はロックされていませんが、ソフトウェアのアップグレードなどに伴い、VMSによって自動的に変更される場合があります。

色々な機能や設定を使用すると、カメラの性能に影響が生じて、フレームレートの低下や画質の低下を招く可能性があります。ネットワークシステム全体でフレームレートを維持するには、作成されたビデオの量を管理するのに十分なサーバー容量も必要になります。さらに、ストレージ、ネットワークトラフィック、ルーターには、すべての受信データを処理するのに十分な速度が必要です。