レーザーフォーカス

3月, 2022

概要

レーザーフォーカスは、カメラの電源を入れるとかならず起動する完全自動機能です。厳しい照明条件下でも瞬時にシャープなフォーカスを実現し、あらゆる条件下で安全に使用できます。レーザーを直視しても、その光で目を傷めることはありません。

はじめに

このホワイトペーパーでは、レーザーとレーザーフォーカスの概要と、さまざまな照明条件下での課題について説明しています。

レーザーとは?

レーザーとは、単色のコヒーレント光を、すべて同じ方向に向けて放射する光源です。これは、放射されるすべての光波が同じサイズと形状 (コヒーレンス) および色 (波長) を持つことを意味します。放射される光は可視光である必要はなく、赤外線 (IR) や紫外線 (UV) など、任意の波長を持つ電磁波である場合もあります。赤外線は可視光 (400~700nm) に比べて波長が長く (700nm~1mm)、紫外線は短い波長 (10~400nm)を備えています。

光のコヒーレンスにより、長距離にわたりレーザー光を細く保つことができるため、レーザーポインター、レーザーサイト、レーザーフォーカスなどの産業用途に適しています。これに対し、画像1に示されているように、一般的な電球の光などの通常の光は多くの色や波長を含んでおり、放射される光波の位相が異なっています。

レーザーフォーカス機能で使用されるレーザー光は肉眼では見えません。その代わり、レーザーは可視光よりも波長の長い赤外線を使用します。レーザー波は誘導放出によって生成されます。レーザーという用語は、LASER (Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation) の頭文字 (LASER) をとったもので、誘導放出による光の増幅を意味します。

レーザー光

通常の光

レーザー光と通常の光の違い。

レーザーフォーカス

レーザーフォーカスは、オートフォーカスのみを搭載したカメラよりも、さらに高速でフォーカスを合わせることができます。低光量または低コントラストのシーンなど、厳しい照明条件下でもフォーカスを合わせることができます。すぐに利用することができるこの機能は、設定やプログラミングを必要としない完全な自動化ソリューションです。カメラの電源を入れると、すぐにレーザーフォーカスが作動します。

レーザーフォーカス機能には、基準点を提供することでフォーカスをアシストするレーザーが含まれています。画像2に示すように、レーザーモジュールには送信機と受信機があります。送信機から放射されたレーザー光線は、物体に当たって跳ね返り、受信機に戻ってカメラにフォーカスの基準点を提供します。レーザーフォーカスの赤外線は、波長905nmの目に見えない無害の光です。

レーザーモジュール搭載カメラの例。
  1. 送信機
  2. カメラレンズ
  3. 受信機

レーザーフォーカス機能は、シーンの変化に合わせて継続的にフォーカスを確認します。カメラはすでに被写体までの距離を把握しているため、探索を開始する場所がわかっており、コンマ数秒以内にすべての処理を自動的に実行します。

厳しい照明条件

以下のセクションで説明するように、照明条件によっては、オートフォーカス機能に問題が生じることがあります。レーザーフォーカスは、これらの条件に関係なく瞬時にフォーカスを合わせることができるため、こういった問題に対するソリューションとなります。

オートフォーカスでフォーカスが合いにくい最も一般的な光条件としては、低光量または低コントラストのシーン、渋滞時の強いヘッドライトなど、点状の光源があるシーンが挙げられます。画像3は、点状光源が複数ある低光量のシーンの例を示しています。

炎や煙など、低コントラストの物体を含むシーンには、オートフォーカスがフォーカスを合わせようとするときに探す、鮮明なエッジや高コントラストがありません。また、濃淡のあるエッジや物体のない白い壁も、コントラストが低い、あるいは存在しないシーンの一例です。

暗い環境では、照明条件が明るいときほどエッジが鮮明に見えません。つまり、コントラストが低くなります。また、低光量のシーンでは、画像ノイズも比例して大きくなります。ノイズが被写体を覆い、鮮明なエッジを隠してしまうため、オートフォーカスがフォーカスを検出する能力が損なわれます。

点状光源が複数ある、低光量のシーン。

レーザーフォーカス機能は強い光を放つ物体やソーラーパネルなどの大量の光を反射する物体へのフォーカスが可能です。反射光によりフォーカスを合わせる際に必要な明確な境界線がぼやけたり隠れたりするため、オートフォーカス機能ではフォーカスを合わせるのが難しいことがあります。

移動する車のナンバープレートなど、動く物体が含まれるシーンや素早く変化するシーンでも、レーザーフォーカスは瞬時にフォーカスを見つけて、ピントを合わせることができます (画像4を参照)。

ナンバープレートにフォーカスを合わせたレーザーフォーカス。

レーザーフォーカスは特にパン/チルト/ズーム (PTZ) カメラで有用です。PTZ機能を使用すると、ビューが動的に変化するからです。

詳しくは、axis.com/ja-jp/products/ptz-camerasをご覧ください。

安全性

レーザーフォーカスは、国際的なレーザー安全規格、IEC 60825 Class 1に適合しており、レーザーフォーカスモジュールに使用されているレーザーの種類は、通常の使用におけるあらゆる条件下で安全であることを保証しています。ユーザーが肉眼で、または虫眼鏡、望遠鏡、顕微鏡などでレーザー発信器を直視しても、怪我をすることはありません。そのため、レーザーフォーカス機能を搭載するカメラは、ショッピングモール、空港、スタジアムなどの公共エリアで安全に使用することができます。