信号対雑音比(SNR)の測定
はじめに
信号対雑音比 (SNR) は、目的の信号のパワーとバックグラウンドノイズのパワーの比です。SNRはデシベル (dB) で測定されます。
センサーの電気的特性によって、達成できるSNRが決まります。センサーの電気的特性が均一なほど、そのセンサーのSNRは向上します。最新の光感度センサーは、古いセンサーよりもショットノイズが高度に制限されているので、フォトンショットノイズが主なノイズ要因となっています。
このホワイトペーパーでは、指定された画質の画像を生成するためにAxisビデオ製品に必要なSNRをAxisが測定する方法の詳細部分について説明します。ここで説明されるSNR測定は、異なる光学系の組み合わせ、つまりセンサーと組み合わせたカメラブロックを比較するために使用されます。SNR測定は、最先端性能クラスの画質を確保するためのプロセスにおける一つのステップです。
実効SNR
この章では、グレーカードの測定値に基づいて最良のSNRを簡易的に推定する方法について簡単に説明します。この測定における画像はすべて、画像処理パイプライン(IPP)後に処理された画像、つまりエンドユーザーに向けて表示される画像に関するものです。人の感じ方によるデータの重み付けは行われません。測定はセンサーのゲインを無効にして行われ、ノイズとの相関性はないと仮定します。SNR測定に使用するAxisカメラは、IRカットフィルターをオンにした状態で、常にデイモードで動作しています。
Axisで使用されているSNR測定方法 - 概要
反射率約30%のグレーカードを使用します。
デフォルト設定で露出したAxisグレーカード。 シーンを均一に照らせるように2枚以上の放送用ライトボードをセットアップします。シーンの照明レベルは2.0 klx、色温度は6500 Kに設定します。放送業界でよく見られる条件であるため、この照明レベルと色温度が選ばれています。
センサーのゲインをオフにします。
レンズをワイドのポジションにします。
グレーカードが画像全体を占めるようにカメラを調節します。
シャッター時間を手動で調節し、飽和度をわずかに下回る画像、つまり読み取ったADCの最高値が≤ 254になるようにします。
露出は飽和度からわずかに下げます。 シーンのスナップショットを5枚撮ります。露出時間は1フレーム以下とします。
各スナップショット内で輝度プロファイルをプロットし、プロファイルのピークを見つけます。実用的なSNRを達成するため、比較的平坦な輝度プロファイルを提供するピーク周辺の領域(切り出し領域)のサイズを特定します。1080pセンサーの場合は、適切な領域サイズが100×100ピクセルになります。
画像をある領域までトリミングするのは、光学系によるケラレの影響や、値の読み取りミスにつながる照明ムラを避けるためです。
トリミングされた各領域内で、式1に従ってSNRを計算します。ここで、μR;G;BとσR;G;Bは各カラーチャンネルの平均と標準偏差を示します。
5枚のスナップショットのSNRの平均として最終的なSNRを近似します。