ネットワークインターコム

1月, 2022

はじめに

どのような組織にとっても、現在の要件を満たしながら、将来の拡張性に対するサポートを提供することは不可欠です。今日のアプリケーションは、従来のアナログソリューションの機能を再現することを目的としている場合もありますが、ネットワークインターコムは、映像監視やアクセスコントロールにおいて、ニーズが基本的であるか複雑であるかを問わず、多くの可能性をもたらします。

投資を保護するIP

ペースや進捗に差はありますが、多くの業界で次々とIP技術が採用されています。この移行の背後にある主な原動力は、通常、経済性と実用性であり、全体として、ネットワークベースのソリューションは、従来のアナログソリューションよりもスマートでコスト効率と汎用性に優れています。

最新のネットワークインターコムは、映像監視、アクセスコントロール、公共安全ソリューションの一部として統合し、ほぼ無制限の数のアプリケーションと分析機能のプラットフォームとなることができます。さらに、オープンスタンダードは、製品の将来性を保証し、開発を推進し、製造コストを抑えるのに役立ちます。

この柔軟性により、インターコムデバイスが利用される環境が増え続けています。従来は、主にさまざまな施設のエントランスに設置されていましたが、最近では公共スペースでのヘルプポイントや緊急電話として利用されることが多くなっています。ひとつ確かなことは、IPによって使用や統合の可能性が広がることで、コストを削減し、将来的な投資の安全性を確保できるというメリットも生まれるということです。

ビデオインターコムは敷地のエントランスに設置し、複数の受信ステーションに接続することができます。しかし、監視目的であれば、ネットワークカメラやその他のIPベースの装置と組み合わせ、すべてを1つのポイントに接続して一元管理するほうがはるかに有益で効率的です。

新しいテクノロジー、新たな可能性

技術的な観点からは、音声データをネットワークで転送することは、映像データを転送するのと同じくらい簡単なことです。そのため、インターコム機能は、あらゆる映像監視システムにとって当然の要素です。

インターコムは、周囲に騒音が多い場所や厳しい照明条件下など、複雑な環境下に設置される場合が少なくありません。高品質な映像と音声の必要性は明らかですが、強力なシステムオンチップ (SoC) を搭載したIPベースのインターコムへの移行は、エコーキャンセラー、ノイズリダクション、映像解像度の向上、優れた低照度性能、ワイドダイナミックレンジ (WDR)、 Axis Zipstream、エッジストレージ、ビデオ解析などの機能によって、音声と映像の体験も向上させます。

特にPOE (Power over Ethernet) に対応した装置は、1本のイーサネットケーブルでデータ転送と電力供給を行うため、容易な設置が可能です。

従来、インターコム業界と映像監視業界は平行線上にあり、両者の間に相乗効果やつながりはほとんどありませんでした。当然のことながら、この2つの市場の構造や前提条件は大きく異なっているように見えます。

インターコムは、一般的に電気設備の設置者などを通じて販売されますが、監視カメラは、多くの場合セキュリティプロバイダーを通じて販売されます。販売チャネルが異なると、購入プロセスだけでなく、設置時期も異なり、システム間の連携も取れていないことが多くあります。このような重複作業は、システムのコストを上げるだけでなく、管理と維持に対する時間や労力も増大させます。

1990年代後半からオープンスタンダードとインターフェースに依存してきたネットワークカメラ業界とは異なり、多くのインターコムソリューションは完全に独自仕様となっています。顧客はハードウェアとソフトウェアのプロバイダーが1社に限定されるだけでなく、プロプライエタリシステムは複雑なことが多く、設置や設定に専門家が必要になります。また、プロバイダーを切り替えるには、システム全体を一新する必要があるため、法外なコストがかかります。

オープンスタンダードの利点

ONVIFやSIPなど、オープンなIP規格に基づくシステムは、選択の自由度を大幅に高めます。お客様は、さまざまなメーカーの製品を選択し、互換性や相互運用性を気にすることなく、異なるシステムやデバイスを接続することができます。Axis VAPIXライブラリの文書化されたAPIを使用した統合によって、ほとんどのお客様のニーズを満たすことができます。

例えば、SIP (Session Initiation Protocol) に対応したビデオインターコムを使用することで、IP電話やVoIP (Voice over IP) 通信システムとの統合が可能になります。映像だけでなく音声も転送できるため、監視ソリューションの柔軟性がさらに高まり、日々の業務がより効率化されます。

大規模な小売店、物流センター、空港、大学のキャンパスなど、より複雑なセキュリティシステムを備え、総合受付やセキュリティサービスがすでに導入されている施設にとって、ビデオインターコムは魅力的な補完設備となり、監視を強化する費用対効果に優れた手段となり得ます。

ネットワークビデオインターコムを使用することにより、保安スタッフは、敷地周辺のゲートやドアの前にいる訪問者を確認し、会話をすることができます。保安スタッフは、特別な場所に留まる必要がなく、ほぼどこにでも配備できます。これは、広大な敷地や地理的に分散した敷地において有益です。

訪問者の確認が終わったら、リモート入館管理や独立したアクセスコントロールシステムで、または直接インターコムを介して、敷地内へのアクセスを許可することができます。必要に応じて、エントランスで発生したあらゆるインシデントをインターコムで記録することができます。

シームレスな拡張性 - 完全にフィットするシステム

IPベースのシステムは無限の拡張性を備え、1台からほぼ無制限の数のデバイスを含めることができ、さまざまな用途での使用が可能です。

ネットワークカメラ数台とインターコム1台といった典型的な小規模システムは、一般的に小規模な小売店やオフィスに設置されています。監視やコミュニケーションなどの基本的なニーズには、このタイプのシステムで対応できます。このソリューションを使用することで、例えば店舗の従業員は、レジカウンターを離れて顧客を待たせることなく、トラックドライバーとやり取りし、搬入口のドアを開けて荷物を受け取ることができるようになります。

中小企業における一般的なセキュリティシステム。ビデオインターコムを使用することで、顧客を待たせることなく、荷物の受け取りや訪問者へのドアの解錠が可能です。

ビジネスの拡大に合わせて、IP監視システムも簡単に拡張することができます。ネットワーク化されたシステムでは、新しいインターコムの追加は、新しいIPカメラの追加と同じくらい簡単です。ビデオ管理ソフトウェア (VMS) は、カメラやインターコムとの通信に加え、リアルタイムでのイベント監視や保存された映像の検索を容易にします。

例えば、オフィスビルやホテルなどでは、受付業務や電話応対に加え、館内の監視も受付業務の一部となり得ます。SIPのサポートにより、IP電話と統合することができるため、インターコムから映像と音声を転送し、営業時間外や週末・休日でもデスクホンやモバイルデバイスから電話に応答することなどが可能になります。

より高度なセキュリティが要求される大規模なシステムでは一般的に、多数のカメラや複数のインターコムに加え、アクセスコントロール、侵入アラーム、IP電話などの機器や、さまざまなサードパーティ製ソフトウェアアプリケーションが使用されます。顧客は民間・公共を問わず、大型店、空港、物流センター、病院、大学のキャンパス、都市など、多岐にわたります。

オープンなIPベースの製品を使用することで、セキュリティスタッフに高い柔軟性を提供するとともに、インシデントを効率的に追跡、監視、対応するための新たな可能性を提供する統合が可能になります。

物流センターや空港などの大規模システムにおいて、ビデオインターコムは、ネットワーク監視カメラ、アクセスコントロールシステム、侵入アラーム、その他のセキュリティアプリケーションとの統合ソリューションを補完するものとして有用です。