Axisネットワーク音声のネットワーク要件
はじめに
本ホワイトペーパーでは、Axis音声システムの接続に必要なネットワーク要件について説明しています。どの音声管理サービスを選択するかによって、ネットワーク要件が異なります。また、用語集や使用するネットワークポートのリストも掲載されています。
ネットワーク用語集
ブロードキャスト | ある送信者がネットワーク内の受信者全員に同じ情報を一度に送信するデータ伝送方式です。 |
DHCP | Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP)は、IPアドレスの自動割り当てと管理をするためのプロトコルです。 |
IGMP | Internet Group Management Protocol(IGMP)は、IPv4ネットワークでマルチキャストグループのメンバーシップを確立するために使用される通信プロトコルで、IPマルチキャストに欠かせない要素です。 |
mDNS | マルチキャストDNS(mDNS)は、ホスト名を解決し、ネットワーク上の装置を見つけるためのゼロコンフィギュレーションプロトコルです。その一例に「Bonjour」があります。 |
MQTT | Message Queuing Telemetry Transport(MQTT)は、モノのインターネット(IoT)で使用される標準的なメッセージングプロトコルです。リモートデバイスを接続するために、さまざまな業界で使用されています。コードのフットプリントを削減し、ネットワーク帯域幅を最小限に抑えることができます。 |
マルチキャスト | ネットワーク内の複数の受信機との通信を可能にするデータ伝送方式です。 マルチキャストは、1つのデータストリームを多数の受信者に一度に送信することで、ネットワークトラフィックを削減します。 |
ネットワークポート | 仮想接続のエンドポイントを一意に識別し、特定のサービスにデータを送信するために割り当てられた番号です。たとえば、HTTPは通常、ネットワークポート80を使用します。ネットワークポートはソフトウェアにおける非物理的ポートです。 |
PoE | Power over Ethernet(PoE)は、接続された装置にスイッチポートから電力を供給できるようにする技術です。したがって、装置は個別の電源を必要としません。異なる電力制限値が定められたIEEE 802.3af/at/bt規格に準拠しています。 |
RTCP | Real-Time Control Protocol(RTCP)は、RTPセッションの帯域外統計データおよび制御情報を提供するプロトコルです。RTPと連携してマルチメディアデータの配信やパッケージ化を行いますが、RTCP自体がデータを転送することはありません。 |
RTP | Real-time Transport Protocol(RTP)は、システムのエンドポイント間で音声や動画などのリアルタイムデータの転送を可能にするパケットベースのプロトコルです。 |
SIP | Session Initiation Protocol(SIP)は、音声、動画、メッセージングアプリケーションを対象とした通信セッションの開始、維持、終了に使用されるシグナリングプロトコルで、Voice over IP(VoIP)で使用されるプロトコルの1つです。 |
スイッチポート | 装置が接続されるネットワークスイッチ内の物理コネクターです。 |
ユニキャスト | ネットワークにおける1対1通信のためのデータ伝送方式です。ユニキャストでは、複数の受信者に同じ情報を送信したい場合、複数のストリームを送信する必要があります。 |
VoIP | Voice over IP(VoIP)は、IPネットワーク経由の音声通信とマルチメディアセッションを可能にする一連の技術です。 |
ネットワーク要件と音声管理ソフトウェアの選択
音声管理サービス(AXIS Audio Manager EdgeまたはAXIS Audio Manager Pro)の選択により、ローカルネットワークの設定方法や使用する通信ポートが異なります。
AXIS Audio Manager EdgeサイトをAXIS Audio Manager Centerサービスにも接続する場合は、システムによるインターネットアクセスのファイアウォール設定を確認する必要があります。
一般的なネットワーク要件
IPアドレスの割り当て。 Axis音声システムは、装置の静的なIPアドレスとDHCPで割り当てられるIPアドレスの両方をサポートしています。DHCPを使用する場合は、DHCPサーバーで設定した同じIPアドレスを常に割り当てることをお勧めします。
ネットワークスイッチ。 Axis装置はPower over Ethernet(PoE)を使用して受電します。PoEはネットワークスイッチまたはミッドスパンによって給電できます。ネットワークスイッチを使用する場合は、Axis装置が接続されているスイッチポートでPoEを有効にする必要がある場合があります。大規模設置環境にはマネージドネットワークスイッチをお勧めします。
AXIS Audio Manager Edgeのネットワーク要件
AXIS Audio Manager Edgeは、Axis音声装置をシステムに設定し、音楽、ページング、その他の音声のソースとゾーンを設定するために使用するサーバーレスソリューションです。スケジュールを設定し、ソース間の優先順位をつけることもできます。設定リーダーになる装置を1つ選択します。その装置のWebインターフェースからAXIS Audio Manager Edgeを起動し、システムを設定および制御します。
プロトコルまたはサービス。
装置はBonjour検出(mDNS)を使用してネットワーク上の他の装置を見つけます。手動で装置を追加することもできます。
MQTTは装置間の情報交換に使用されます。MQTTにブローカーを追加する必要はありませんが、ネットワーク上でトラフィックが許可されている必要があります。
システムに設定された各ソース(ページングソース、音楽ストリーミングソース、コンテンツタイプ)に対して、2つのネットワークポートが音声ストリーミングと制御(RTPとRTCP)に使用されます。
ネットワークポート5015の共通クロックは、装置間で音声が同期して再生されるようにするために使用されます。
SIP(VoIP)はページングや他のシステムとの連携に使用できます。SIPを使用する場合は、ネットワーク上で関連ポートとトラフィックを許可する必要があります。
ユニキャスト/マルチキャスト。
Axis音声システムはマルチキャストを使用しており、ネットワークトラフィックを抑えながら、1つのソースから多くの装置に音声ストリームを送信できます。ネットワークスイッチはIGMPスヌーピングを使用して、ストリームを受信する装置を決定します。マルチキャストを使用するには、ネットワークスイッチでマルチキャストとIGMPスヌーピングを有効にする必要があります。
AXIS Audio Manager Edgeは、ストリームを区別するために、単一のマルチキャストアドレスとそのアドレス上の異なるネットワークポートを使用します。
代わりにユニキャストを使用するように設定することもできますが、この場合、システムのサイズは最大20の装置に制限されます。
AXIS Audio Manager Proのネットワーク要件
AXIS Audio Manager Proは、AXIS Audio Manager Edgeよりも大規模なシステムや、より複雑な使用ケースを想定しています。AXIS Audio Manager Proは、Windowsサーバーまたは仮想マシン上で動作するソフトウェアです。
プロトコルまたはサービス。
SIP(VoIP)はページングや他のシステムとの連携に使用できます。SIPを使用する場合は、ネットワーク上で関連ポートとトラフィックを許可する必要があります。
ユニキャスト/マルチキャスト。
Axis音声システムはマルチキャストを使用しており、ネットワークトラフィックを抑えながら、1つのソースから多くの装置に音声ストリームを送信できます。ネットワークスイッチはIGMPスヌーピングを使用して、ストリームを受信する装置を決定します。マルチキャストを使用するには、ネットワークスイッチでマルチキャストとIGMPスヌーピングを有効にする必要があります。
すべての装置は、AXIS Audio Manager Proがインストールされているサーバーと同じマルチキャストドメインに接続されている必要があります。サーバーとすべての装置間の音声ストリーミングはマルチキャストを使用します。AXIS Audio Manager Proはストリームごとに1つのマルチキャストアドレスを使用します。デフォルトのアドレス範囲は239.0.0.0 ~ 239.0.0.254です。
AXIS Audio Manager Centerのネットワーク要件
AXIS Audio Manager Centerは、AXIS Audio Manager Edgeをローカルで使用してマルチサイトシステムをリモート管理および監視するための、サブスクリプションベースのサービスです。このハイブリッドクラウドソリューションは、クラウドベースとオンプレミスの両方のコンポーネントを使用して、利便性と安定性を備えたソリューションを実現しています。シングルサインオンにより、選択した音声サイトやゾーンのアナウンス、BGM、広告などのスケジューリングを可能にして、ユーザーの作業負荷を大幅に軽減します。
各ローカル音声サイトのネットワーク要件(AXIS Audio Manager Edgeを参照)に加えて、クラウドサービスへのネットワーク接続が必要です。通信は各ローカル音声サイトによって開始され、通常、ネットワークにファイアウォールルールを追加する必要はありません。通信は、セキュリティとプライバシーのために暗号化を使用しています。
ネットワークポートのリスト
ポート | 用途 | コメント |
---|---|---|
80 | HTTP | デフォルト値。ユーザーが変更可能 |
332 | RTSPS | |
443 | HTTPS | デフォルト値。ユーザーが変更可能 |
554 | RTSP | |
1883 | 外部MQTT | デフォルト値。ユーザーが変更可能 |
1900 | UPnP UDP | |
3478 | SIP STUN/TURN | オプション |
4000, 4002, ... | SIP RTP | 呼び出しごとに“+2”ステップ |
4001, 4003, ... | SIP RTCP | 呼び出しごとに“+2”ステップ |
4242 | サイトの内部MQTT | |
5015 | クロック | |
5060 | SIP | デフォルト値。ユーザーが変更可能 |
5061 | SIP TLS | デフォルト値。ユーザーが変更可能 |
5353 | Bonjour検出 | |
20000, 20002, ... | RTP | システム内のソースあたり“+2“ステップ |
20001, 20003, ... | RTCP | システム内のソースあたり“+2“ステップ |
ポート | 用途 | コメント |
---|---|---|
22 | SSH | |
123 | NTP UDP | トラップ |
161, 162 | SNMP | |
10161, 10162 | Secure SNMP | トラップ |
ポート | 用途 | コメント |
---|---|---|
443 | HTTPS | サーバーのウェブUI。デフォルト値。ユーザーが変更可能。 |
5433 | システムポート | デフォルト値。すでに使用されている場合は、次に使用可能なネットワークポートが使用されます。 |
6992 | システムポート | デフォルト値。すでに使用されている場合、サーバーログをキャプチャーするためのTraceviewアプリケーションはAXIS Audio Manager Proサーバーに接続できません。 |
6999 | RTP | マルチキャスト音声ストリーム。 |
7010 | システムポート | デフォルト値。すでに使用されている場合は、次に使用可能なネットワークポートが使用されます。 |
5060 | SIP | デフォルト値。ユーザーが変更可能。 |
30000 – 31999 | RTP | SIP呼び出し用のRTPストリーム。 |
ポート | 用途 |
---|---|
443 | HTTPS |
8883 | MQTT |