フォーカスリコール
概要
フォーカスリコールは、低コントラストのシーンや、対向車の強いヘッドライトのような点状の光源があるなどの厳しい照明条件でも、PTZカメラを簡単に最適に使用できるようにします。
ユーザーがフォーカスリコール領域を設定すると、その領域に手動でカメラビューをパンまたはチルトした場合、フォーカスリコール機能が自動的かつ瞬時にフォーカスを合わせます。メニューからフォーカスリコール領域を選択したり、その位置を覚えておく必要はなく、必要なときに自動的かつ瞬時に表示されます。
はじめに
このホワイトペーパーでは、フォーカスリコールの概要と、オートフォーカス、プリセット、フォーカスリコールの違いについて説明しています。
フォーカスリコールとは
フォーカスリコールは、あらかじめ設定された領域において瞬時にフォーカスを合わせ、厳しい光条件下でもパン/チルト/ズーム (PTZ) カメラを最適に利用することが簡単になります。フォーカスリコールを使用する場合、現在のビューのフォーカスが十分である場合にボタンをクリックするだけで、カメラがフォーカスリコール領域を作成します。その後、手動でカメラをパンまたはチルトさせ、カメラビューがフォーカスリコール領域に移動すると、カメラはそのビューに対して事前に設定したフォーカスを自動的に呼び出すことができます。ズームインまたはズームアウトしても、カメラは同じフォーカス位置を維持します。
フォーカスリコール機能は、ジョイスティックを使用するなど、手動での操作を多く必要とするシナリオで役立ちます。フォーカスリコールは、コントラストが低く、点状の光源があるシーン、例えば、交通渋滞で強いヘッドライトが当たっているシーンで特に有効です。
オートトラッキングでは、PTZカメラが移動する物体を自動的に検知して追跡し、物体の動きに合わせてビューを変更します。オートトラッキングでフォーカスリコール領域を使用すると、カメラが瞬時はフォーカスを合わせることができます。録画されたガードツアーでは、カメラはあらかじめ選択された複数のカメラビューや経路を表示します。録画ガードツアー中も、フォーカスリコール領域を使用することで、フォーカスの高速化を図ることができます。
オートフォーカス、プリセット、フォーカスリコールの違い
オートフォーカス
オートフォーカスを搭載したカメラは、自動的にフォーカスを合わせます。オートフォーカス機能を動作させるために、設定やプログラミングは必要ありません。Axis PTZカメラでは、この機能はデフォルトで有効になっており、カメラの電源を入れればすぐに動作します。
低光量または低コントラストのシーンや、ノイズの多いシーンでは、オートフォーカスでピントを合わせるまで少し時間がかかったり、誤った被写体にフォーカスを合わせたりすることがあります。また、シーンが変化すると、オートフォーカス機能がフォーカスを合わせ直すまで、一瞬フォーカスが合わなくなることがあります。そのため、フォーカスが合っては消え、合っては消えを繰り返しているような印象をユーザーに与えてしまうことがあります。目的のビュー内にフォーカスリコール領域を設定すると、すぐにフォーカスの合った映像を見ることができます。
オートフォーカスとフォーカスリコールの主な違いは、オートフォーカスはシーンが変わるたびにフォーカスを調整する点です。フォーカスリコールでは、フォーカスを固定した領域を記憶するため、何度も調整する必要がありません。そのため、フォーカスリコールはより素早くあらかじめ設定した特定のエリアにフォーカスを合わせることができます。また、動きやノイズの多いシーンではオートフォーカスを使用すると、フォーカスが頻繁に変化してしまうことがあります。フォーカスリコールは瞬時にフォーカスを合わせることができます。
オートフォーカスについて詳しくは、axis.com/ja-jp/products/ptz-camerasをご覧ください。
プリセット
プリセットを使用するには、現在のPTZとフォーカスの設定を保存し、マニュアルまたはオートフォーカス機能を使用してフォーカスを見つけます。プリセットには、「ゲート」などの適切な名前を付けます。
プリセットに戻るには、ユーザーがドロップダウンメニューからプリセットを選択するなどを行い、カメラにプリセットへ戻るよう指示を出します。プリセットへの移動にジョイスティックを使用することはできません。一方、ジョイスティックを使用してフォーカスリコール領域にパンまたはチルトすると、自動的にフォーカスリコールが作動します。
プリセットは1点にフォーカスし、フォーカスリコールはビュー全体をフォーカスリコール領域として保存します。プリセットを選択すると、カメラはプリセット位置へ移動します。一方、フォーカスリコールでは、カメラがフォーカスリコール領域のあるシーンに移動すると、自動的にフォーカスを合わせます。
フォーカスリコールの仕組みは?
フォーカスリコール機能は、非常に簡単に使用できます。フォーカスリコール領域を設定するには、ビューのフォーカスが最適になったときに [フォーカスリコール] ボタンをクリックします。[フォーカスリコール] ボタンは、カメラのWebインターフェースのライブビューコントロールバーにあります。
ユーザーがフォーカスリコールボタンをクリックすると、現在カメラが表示しているビュー全体がフォーカスリコール領域になります。フォーカスリコール領域を追加すると、カメラはそのフォーカス設定を保存します。フォーカスリコールボタンがマイナス記号 (-) に変わり、フォーカ スリコール領域が設定されたことが示されます。フォーカスリコールボタンをクリックする前に、ユーザーはオートフォーカスで設定されたフォーカスを使用するか、マニュアルでフォーカスを選択することができます。最適な結果を得るには、カメラが対象の物体にズームインしているときにフォーカスリコール領域を設定する必要があります。ユーザーは、最大20の個別のフォーカスリコール領域を設定することができます。
フォーカスリコール領域を削除したい場合は、フォーカスリコール領域内にカメラを移動し、再度フォーカスリコールボタンをクリックします。ボタンが切り替わり、プラス記号 (+) が表示されます。これは、領域が削除され、ビューに新しい領域を設定できることを表します。
設定済みのフォーカスリコール領域を能動的に探したい場合は、フォーカスリコールボタンのプラス記号がマイナスに変わるまでカメラビューを移動させる必要があります。しかし、フォーカスリコール領域にカメラビューをパンまたはチルトさせれば、自動的にフォーカスリコールが作動するため、ユーザーが領域を探す必要はありません。カメラビューにフォーカスリコール領域の50%が表示されると、カメラは自動的にフォーカスリコール機能を作動させます。
フォーカスリコール機能は、Axis独自のオープンなアプリケーションプログラミングインターフェース (API)、VAPIX®を使用して、ビデオ管理システム (VMS) に簡単に統合することができます。詳しくは、https://developer.axis.com/vapixをご覧ください。
ユースケース
フォーカスリコールは、24時間365日監視員がいる交通機関や交通監視など、光量が少なく、動きやノイズ、点状の光源が多いシーンで役立ちます。

フォーカスリコール領域の例
最初の例は駐車場の出口です。車のヘッドライトによってカメラのフォーカスが合いにくい傾向があります。出口をフォーカスリコール領域に設定すると、駐車場から出る車のナンバープレートを素早く確認できるようになります。カメラビューをフォーカスリコール領域にパンまたはチルトすると同時に、カメラはナンバープレートにフォーカスを合わせます。

次の例は、コントラストが低く、車両が高速で移動する道路です。道路の一区画をフォーカスリコール領域として設定することで、車両を素早く認識できるようになります。
