車載カメラ
はじめに
Axisの車両搭載向けカメラは、堅牢な技術が求められる列車、路面電車、バス、トラック、緊急車両、採掘機械、その他の移動式の機材など、幅広い車両への設置を想定して設計されています。これらのカメラは、厳しい環境下でも性能を発揮できるよう設計されており、鉄道車両および道路車両への設置を規定する厳格な業界標準および規制要件に準拠しています。
このホワイトペーパーでは、Axisの車両搭載向けカメラに関する技術的内容を簡潔に概説します。最適な車載性能を実現するために必要となる主要な特長、重要な考慮事項、そして強固なサイバーセキュリティ層について説明します。
車両での監視
車両監視ソリューションは、乗客および運転者の安全性向上、犯罪や破壊行為の防止、そして有力な証拠を提供するために、ますます活用が進んでいます。車両搭載向けカメラにより、リアルタイムでの監視に加え、事後の分析も可能となり、スタッフ、乗客、車両、設備を保護できます。
車載環境で優れた画質を確保するには、カメラが長期間にわたる激しい振動に耐えられること、信頼性が高い電源供給やデータ転送が行えること、さらに照明条件に左右されずに動作する必要があります。これらの要求は鉄道交通と道路交通の両方で使用されるデバイスにも当てはまりますが、規制要件は一般的に鉄道と道路で異なります。また、地域によって要件が異なる場合もあります。また、耐火安全性および電磁両立性に関する地域の規格に適合することは不可欠です。
Axisの鉄道向け耐振動のカメラは、衝撃や振動に耐えられるよう設計されており(規格 EN 50155に準拠)、また EN 45545-2およびNFPA 130などの防火規制にも適合しています。カスタマイズのニーズに合わせて、複数の レンズオプション を用意した屋内用および屋外用のドームカメラの両方を取り揃えています。

Axisのバス向けカメラにも、複数のレンズオプションが提供されています。これらのカメラは、 屋外対応ハウジングと組み合わせて使用することで、厳しい気象条件にも耐えられ、バスの外側に設置することも可能です。

Axisモジュラー型カメラ は、柔軟な設置が可能で、救急車、警備車両、トラックなど、他の車両にも搭載できます。分割型カメラのコンセプトに基づき、メインユニット、センサー、ケーブルを個々のニーズに応じて選択できる、完全にモジュール化されたシステムです。

車両搭載向けカメラに関する主な考慮事項
車載環境では、温度変化、振動、電磁干渉に耐えられるカメラが求められます。さらに、照明条件は変化しやすく、厳しい条件である場合もあり、一般的なシーンも複雑かつ動きが伴います。
車両搭載向けカメラには通常、以下のものが備わっています:
堅牢なハウジング(多くの場合金属製)
耐久性の高いコンポーネントおよびコネクター
広い温度耐性
防塵・防水・耐衝撃性能(IP規格およびIK保護等級)
耐振動性(堅牢な設計)
車両搭載向けカメラは十分な保護を確保するための環境性能等級を満たし、耐振動性のある固定式コネクタや、厳しい照明条件に対応する技術を備えている必要があります。可能であれば、耐破壊性に加えていたずら警告機能も備えていることが望まれます。多くの環境では、小型で目立ちにくいカメラが好まれます。
照明条件
車両搭載向けカメラは、さまざまな照明条件に適応できる必要があります。低光量、ちらつき、強い逆光といった非常に厳しい照明条件では、それに対応するための特殊な技術を備えたカメラが必要です。
Axisのカメラはワイドダイナミックレンジ技術を採用しており、明るい部分を白飛びさせることなく、シーンの暗い部分の細部まで見えるようにすることが可能であるため、卓越した性能を発揮します。ワイドダイナミックレンジ技術の詳細については、whitepapers.axis.com/wide-dynamic-rangeをご覧ください。
Lightfinder は非常に低光量でも鮮明なカラー画像を撮影します。Lightfinderの詳細については、whitepapers.axis.com/lightfinderをご覧ください。
トラフィックライトモードにより、カメラは暗いシーンでも信号機の色を識別できます。
混雑したシーン
分析機能は貴重な知見を提供し、乗客の流れを把握して乗降プロセスの最適化に役立てることができます。サードパーティー製品による分析機能を利用すれば、混雑状況や忘れ物なども監視できます。
ただし、車両搭載向けカメラに分析機能を実装するのは複雑です。この環境では、走行中の車両の窓から映し出されるシーンが絶えず変化するため、常に動くシーンなど、特有の課題に対応する必要があります。また、人の混雑や振動も、非常に動きのあるダイナミックなシーンを生み出す要因となります。車両の天井は通常低いため、分析機能にさらなる課題が生じます。さらに、カメラを車両の外側に設置する場合は、気象条件も加わり、複雑さが増します。
車両搭載向けカメラに分析機能を導入する前に、その機能が意図された用途に合うのか、テストおよび検証することが不可欠です。
振動
高耐久性または耐環境仕様という用語は、車両内や機械内部、または機械の周辺などの高振動環境において、Axisの車載デバイスおよびモジュール型デバイスが長期にわたり耐久性と安定性を維持できることを示すために使用されています。高耐久性デバイスは、このような環境にやや難がある場合でも製品寿命全体を通じて動作し続けるように構成されています。
車両搭載向けカメラは、堅牢な取り付け機構、柔軟な接続方式、そして衝撃や振動を吸収できるコンポーネントを備えた設計となっています。これにより、鉄道や道路走行に伴う厳しい条件下でもカメラの正常な機能を維持し、高品質な映像を撮影できます。
M12ネットワークケーブルコネクターは、従来のRJ45コネクターよりも振動に強い確実な接続を提供します。M12コネクタのねじ込み式構造により、しっかりと固定されます。これは、一般的なコネクターが経年で緩む可能性のある高振動環境において非常に重要です。内部の構造もRJ45コネクターとは異なります。
車載用途向けのモジュラー型カメラでは、本体とセンサーユニット間のケーブルにSMA-FAKRAコネクターが採用されており、振動に耐え、車載向け耐振動の堅牢な設置を保証します。
IP 保護等級
ほとんどの車両搭載向けカメラはIP66/67等級であり、粉じんや水の侵入に対する保護が確保されています。ただし、これは屋外対応であることを示すものでははありません。
屋外対応のAxisカメラは、製品名に「-E」が付いていることで識別できます。これは、追加のハウジングを必要とせず、箱から出してすぐに屋外で使用できることを示しています。これらは、UV耐性材料を使用していることや、内部の結露を最小限に抑えつつ湿度に耐えられることなど、特定の要件を満たしています。
ほとんどの車両搭載向けカメラは、屋外での使用を想定していません列車などの車両の外側に取り付けられたカメラは、一般的な屋外対応カメララよりも過酷な振動や風の影響にさらされます。
電源
車両搭載向けカメラには信頼性の高い電源供給が必要です。Axisの車両搭載向けカメラはPoE(Power over Ethernet)給電に対応しており、別途電源ケーブルを用意する必要がありません。スイッチが機器へ給電し、スイッチ自体の消費電力は最小限に抑えられています。PoEにより設置作業が簡素化され、ダウンタイムも削減できます。
統合
Axisのビデオ製品はすべて、VAPIX®と呼ばれるアプリケーションプログラミングインターフェース (API) を備えています。VAPIXによって、開発者はAxisのビデオ製品とその内蔵機能を他のソフトウェアソリューションに簡単に統合できます。つまり、これらのカメラは、例えば鉄道や道路の交通管理で使用される特定の映像システムなどに統合することが可能です。Axisのすべてのカメラは、メーカーに関わらずネットワークビデオ製品間の相互運用性を提供するONVIF®にも準拠しています。
電磁耐性
車載環境では、電磁干渉(EMI)に対する影響の受けやすさや、強い電磁界が存在する状況でもカメラが安定して動作できるかどうかが試されます。鉄道用途では、通信システムからの無線周波(RF)信号や、牽引モーターおよびその他の電気機器によって発生する電磁パルスなど、EMI(電磁干渉)の発生源が多数存在します。
この要件を満たすため、車両搭載向けカメラにはEMC設計の原則が取り入れられています。例えば、シールド(電磁放射を低減するために金属筐体やシールド材を使用)、不要な周波数を抑制し干渉を防ぐためのフィルタリング、静電気放電を防ぐためにカメラの電子機器は適切に接地されていることなどが挙げられます。
画角
車両搭載向けカメラは、包括的な監視範囲を確保するために、さまざまな視野角オプションを提供します。
パノラマカメラは広範囲を見渡せる映像を提供し、一般的な監視に最適です。
小型固定ドームカメラやモジュラー型カメラは、設置場所の自由度や外観面での柔軟性を提供します。
交換可能なレンズにより視野角を調整でき、例えば運転席側のドアに焦点を当てるといった、特定の監視ニーズに合わせて最適化できます。Axisの車両搭載向けカメラでは、レンズを交換して最適な視野角を選択できます。

サイバーセキュリティ
車両搭載向けカメラは一般の人が物理的にアクセスできる場所に設置されることが多いため、サイバーセキュリティは特に重要です。カメラがより大規模なネットワークへの侵入口となる可能性があり、最大の懸念は不正なネットワークアクセスを防ぐことです。
強固なセキュリティ対策により、Axisの車両搭載向けカメラはサイバー攻撃から保護され、ネットワークの整合性も維持されます。例として以下が挙げられます。
機器ソフトウェアの定期的なアップデートおよびセキュリティパッチの提供。
安全な認証方法と暗号化技術の導入。
業界の標準およびベストプラクティスの準拠。
アクセスコントロールやセキュアなプロトコルなど、ネットワーク保護機能の提供。
セキュリティ対策の継続的監視と改善。
安全な設置および設定のためのガイドラインとリソースの提供。
Axis製品のサイバーセキュリティに関する詳細は www.axis.com/about-axis/cybersecurityをご覧ください。
認定
Axisは、業界基準、規制、認証を満たすだけでなく、それを上回る製品を提供することに尽力しております。これらの基準を厳格に遵守することで、当社のソリューションが高い信頼性と安全性を備え、最高水準の品質を満たすことを保証いたします。
当社の車両搭載向けカメラは、他のカメラ製品と同様の規格および規制に準拠しているだけでなく、さまざまな輸送環境において安全かつ信頼性の高い運用を実現するための業界固有の規格にも適合しています。
車両搭載向けカメラにおける重要な認証や規格には、以下のものが含まれます:
EN 50155(鉄道用途 ― 鉄道車両に使用される電子機器)
車両搭載向けカメラなどの電子機器が、鉄道用途における過酷な環境条件に耐えられることを保証します。例えば、一般的に見られる振動周波数帯での振動、電磁干渉(EMI)、および強い電磁界の存在などに関する要件が含まれます。EN 45545-2 (鉄道用途 ― 鉄道車両の防火)
車載機器の防火安全性に重点を置き、火災の拡大に寄与しないことや、有害物質を放出しないことを確保する規格です。UN ECE R118 (特定区分の自動車の内装構造に使用される材料の燃焼特性)
バスなどの道路車両における防火安全性に焦点を当てており、特にバス車内に使用される材料や部品の燃焼特性および燃料に対する耐性を評価するものです。NFPA 130 (固定軌道交通および旅客鉄道システムの規格)
地下・地上・高架の固定軌道交通および旅客鉄道システムに対する防火および人命安全の要件を規定する規格です。