放送設備

8月, 2021

概要

放送設備(PA)システムにより情報を発信することで、公共、機関、商業施設のセキュリティ、安全性、運用効率が大幅に改善します。PAシステムは、緊急時だけでなく、日常的な放送として、ライブメッセージ、スケジュールメッセージ、トリガーメッセージを流すために使用することができます。サイトに多数のスピーカーが設置されている場合は、サイトをゾーンに分割して、複数のゾーンでコンテンツを放送することが可能となります。たとえば、学校の場合、個々の教室や複数の教室、または学校全体にアナウンスを行うことができます。

Axisの音声製品を活用することで、音声入力デバイスをAxisのIPスピーカーや管理ソリューションと組み合わせるなど、いくつかの方法でIPベースのPAシステムを構築することが可能となります。新しいスピーカーを追加するためにシステムを再配線する必要のある従来型のアナログシステムとは異なり、Axisの音声デバイスはネットワークに接続されているため、システムにデバイスを追加する必要がある場合も、デバイスをネットワークに接続してソフトウェアに追加するだけで済みます。これは非常に柔軟性が高く使いやすいシステムです。

AxisのPAには制御機能が組み込まれているため、音質、デバイスの接続性、機能が保証されます。アクティブIPスピーカーにはハードウェアとソフトウェアの両方が含まれているため、事前定義されたサウンドプロファイルと事前構成されたデジタルサウンド処理を使用して、あらゆる環境で音質を自動的に最適化することができます。すべてのデバイスをネットワーク経由で監視でき、リモートヘルスチェックを利用してシステムが良好に機能していることを確認することが可能です。緊急時や不測の事態が発生した場合などは特に、PAシステムが大きな役割を果たします。こうした機能により、PAシステムが最適化された状態で最も重要な場面で完全に機能することを保証することができます。

IPとオープンスタンダードに基づいて設計されているAxis PAは、アラームシステム、映像監視、アクセスコントロール、電話などの他社製のシステムと容易に統合することが可能です。そのため、2つのシステムを組み込んだプロセスを自動化することができます。PAシステムを地震検知や他の早期警報システムと統合することで、迅速に大衆に事態を知らせる重要な目的を達成することが可能です。映像監視と統合すれば、侵入者が検知された場合に、オペレーターが口頭で警告を発することができます。統合性に優れているため、新たな可能性や新しいユースケースを常に追求できる未来志向のシステムを構築することが可能となります。

PAは、小売店舗などで有益なメッセージ、更新情報、音声のコマーシャルを流すためだけでなく、呼び出し目的やBGMにも使用することができます。この場合、優先順位を設定すれば、緊急メッセージを発信する必要性が発生した際は、音楽が中断されます。

Axis製品と標準のIT機器の両方で、多くの種類のデバイスを使用して音声入力を提供することが可能です。出力には、場所やユースケースに最適なAxisスピーカーモデルを利用します。適切な音声管理ソフトウェアを使用することで、スケジューリング、ゾーニング、コンテンツを容易に制御および更新できるだけでなく、ユーザーアクセスを管理して、サイバーセキュリティ対策を確実に講じることができます。

はじめに

放送設備(PA)システムにより、スタジアム、学校、ショッピングモールといった場所でお知らせを放送することができます。最新のIPベースのPAシステムは、IP音声デバイス(通常はマイクとスピーカー)およびデバイスに統合できる音声管理ソフトウェアで構成されています。お知らせはライブで放送すること、スケジュールに従って再生すること、また特定のイベントに応じてトリガーすることができます。

本ホワイトペーパーでは、意思決定者の方々を対象に、Axisネットワーク音声製品、標準のオフィス機器(IP電話など)、標準のネットワークケーブルを使用してPAシステムを構築する方法の概要をご説明します。また、機能とメリットを考察し、最後にIPベースのPAシステムの最も主要なユースケースのいくつかをご紹介します。これには、PAシステムの機能、使用するデバイスの種類、システムを展開する前に考慮すべき事柄が含まれます。

AxisのIPベースの放送設備

資産の保護、従業員の安全の維持、ビジネスの最適化など、その目的に関わらず、ネットワーク音声システムにより、さまざまなニーズに対応する単一の柔軟なソリューションを構築することができます。システムは使いやすくて将来性があるだけでなく、制御機能が組み込まれているため、音質およびデバイスの接続性と機能が保証されます。

シンプルかつスケーラブル

IPベースのPAシステムなら、既存のネットワークケーブルを使用して、音声入力デバイスと音声出力デバイスを接続することができます。システムにデバイスを追加する必要がある場合も、デバイスをネットワークに接続するだけで済みます。

このスケーラビリティにより、システムを容易に拡張または変更できるため、変化するニーズや要件にわけなく対応することが可能となります。

信頼性の高いサウンド

すべての機能は、ハードウェアとソフトウェアの両方が搭載されたアクティブIPスピーカーに統合されています。実際、各スピーカーが完全なサウンドシステムとなります。事前定義されたサウンドプロファイルと事前構成されたデジタルサウンド処理を使用することで、あらゆる環境で音質が自動的に最適化されます。

すべてのデバイスはネットワーク経由で監視できます。リモートヘルスチェックにより、システムが機能していることを確認でき、必要に応じてリモートでトラブルシューティングを行うことも可能となります。

こうした機能により、緊急時や不測の事態の発生時といった最も必要な場合にPAシステムが最適化された状態で良好に機能するように、システムの健全性を維持することができるのです。

柔軟性の高いゾーニングとコンテンツ

IPスピーカーは、物理的なケーブル接続なしに、さまざまなゾーンに分けて設置することができるため、スピーカーゾーンの管理がシンプルで、容易に変更することができます。ゾーン管理とコンテンツ管理はどちらもソフトウェアで実行できるため、柔軟性が高く、適切な場所で必要なコンテンツを適時に放送することが可能となります。

リモート管理できるため、ゾーニングやコンテンツを変更する必要性が発生しても、ケーブルを再配線したり、スタッフを派遣してサイトに物理的にアクセスしたりする必要がなく、ダウンタイムも発生しません。

他のシステムとの統合

IPベースの放送設備システムを使用することでもたらされる重要なメリットとし、アクセスコントロール、映像監視、アラームシステム、電話などのシステムと統合できることが挙げられます。統合することで、自動化されたプロセスが実現します。

同様に、映像監視システムにPAシステムを統合すれば、侵入者が検知された場合にオペレーターは口頭で警告を発することができます。侵入者に監視されているという事実を単に伝えるだけで、簡単に犯罪を防止できる場合もかなりあるため、これは敷地周辺の警備に非常に適しています。

IPベースのPAシステムはオープンスタンダードに基づいて構築されているため、統合することが可能です。そのため、新たな可能性や新しいユースケースを常に追求できる未来志向のシステムを構築することができます。

多目的使用

多目的のPAシステムは、多くの用途に適しています。

  • 安全性
    PAシステムにより、緊急時にライブアナウンスやトリガーアナウンスを流すことができます。PAシステムを地震検知システムや他の早期警報システムに接続すれば、大衆に極力迅速に通知しなければならない事態が発生した場合に特に効果的となります。PAシステムは、関連するすべてのゾーンにおける火災警報器や放送指示設備の補完として使用することもできます。これが、時間の節約や人命保護につながります。

  • 運用効率
    小売店舗などでは、PAシステムを使用して、有益な録音メッセージやライブメッセージ、更新情報、音声のコマーシャルを流すことができます。学校や生産施設では、休憩時間など、特定の時間にチャイムなどを鳴らすことができます。従業員をレジカウンターに派遣する、または学生を校長室に呼び出すなど、特定の場所に人を移動させることもできます。ラジオやBGM業者などの曲をBGMとして流すこともできます。この場合、優先順位を設定すれば、緊急メッセージを発信する必要性が発生した際は、音楽が中断されます。

  • セキュリティ
    PAシステムを映像監視と統合することにより、ビデオイベントにより音声クリップが自動的にトリガーされるシステムを構築することができます。たとえば、不審者が立ち去るように、犬の吠え声や音声メッセージを流すことが可能です。

放送設備システムのコンポーネント

Axisの製品と標準のIT機器を使用することで、音声入力、音声出力、音声管理をすべて設定することができます

音声入力デバイス

Axis製品と標準のIT機器の両方において、多くのタイプのデバイスを使用して、音声入力を実行することができます。入力デバイスの種類により、ゾーン、コンテンツ、スケジューリング、ユーザーアクセスの管理方法が異なります。

IPマイクを入力デバイスとして使用

Axis API(アプリケーションプログラミングインターフェース - 2つのソフトウェアプログラム間の通信を可能にするコード)「VAPIX」を経由するか、 SIPプロトコルを経由するかのいずれかの方法で、IPマイク「2N SIP Mic」とAxis IP音声製品の間の通信を実現することができます。SIPは、電気通信業界とユニファイドコミュニケーション業界の標準通信プロトコルです。すべてのAxisの音声製品はSIPと互換性があります。

2N SIP Micには、ライブアナウンスまたはAxis IP音声製品に保存されている音声クリップのトリガーに使用できる12個のボタンが備わっています。12個以上のボタンが必要な場合は、複数の2N SIP Micsを設置してください。

SIP電話を入力デバイスとして使用

現在、ほとんどのオフィスの電話はSIPと互換性があります。そのため、標準のSIP電話を使用して、Axis IP音声デバイスのSIPアドレスを呼び出すことができます。

日常的な操作を容易にするために、電話機のボタンまたはボタンの組み合わせをプログラムして、SIPSデバイスのSIPアドレスを表示することが可能です。こうすれば、電話のボタンを押すだけで、PAシステムでライブアナウンスを発信できるようになります。電話機のボタンまたはボタンの組み合わせをプログラムして、音声デバイスの音声クリップをトリガーすることも可能です。

SIP PBXを入力デバイスとして使用

SIP PBXは、従来型の交換機のように機能するハブです。これは、イントラネットやサードパーティのサービスプロバイダーでホストすることができます。SIPデバイスがSIP PBXに登録され、電話番号と内線番号を介して相互に接続することが可能となります。

PBXシステムの内線として追加することで、Axisデバイスを容易に接続することができます。単一のデバイスを追加することも、SIPトランクを介してAXIS Audio Manager Proに接続することもできます。電話帳にある番号をダイヤルするだけで、単一のユニットまたは事前設定されたグループにアドレス指定することが可能です。

アプリ搭載スマートフォンを入力デバイスとして使用

他社のSIPアプリを利用して、Axisスピーカーからアナウンスを流すことができます。電話通信やユニファイドコミュニケーション機器メーカーのほとんどは、スマートフォン用の独自のアプリを製造しています。アプリでSIPプロトコルがサポートされていれば、Axis IPスピーカーとも互換性がある可能性があります。Axisはこうしたアプリの互換性をテストしていないため、ご自身またはインテグレーターが慎重にアプリを選択してください。

VMSクライアントに接続されたUSBヘッドセットを入力デバイスとして使用

AxisまたはAxisソフトウェアパートナーのビデオ管理システムを使用している場合は、USBヘッドセットをVMS(ビデオ管理システム)クライアントに接続することができます。VMSクライアントのヘッドセットとウェブボタンを使用して、Axis IPスピーカーからアナウンスを行うこと、および音声クリップをトリガーすることが可能です。この機能は、AXIS Camera StationとAXIS Companion、またAxisソフトウェアパートナーのVMSソリューションの多くでサポートされています。

音声出力デバイス

スピーカー

それ自体が完全な高品質の音声システムであるAxisネットワークスピーカーには、アンプとデジタルシグナルプロセッサが統合されています。Power over Ethernet(PoE)テクノロジーを搭載したこのスピーカーは、標準ネットワークに接続するため、PA目的に最適な製品です。

各スピーカーには、音声管理ソフトウェアが組み込まれています。事前設定されたサウンドおよび必要に応じて再生できる音声クリップを保存できるオンボードメモリーが搭載されています。各スピーカーにはマイクが組み込まれているため、内蔵テスト機能を使用して機能をリモートで確認することができます。

騒々しい屋外エリアで明確なアナウンスを実現する目的に最適な種類もあれば、狭いスペースに向いている機種もあるなど、フォームファクター、音圧、取り付けの可能性はスピーカーの種類によってさまざまに異なります。

  • ホーンスピーカー: 高い音圧レベルを実現するAxisネットワークホーンスピーカーにより、人間の耳が最も敏感に反応する周波数で音の大きさを最大化することができます。これにより、メッセージを極力明確に伝えることが可能となります。このスピーカーの形状により、すべての音が一方向に向けられるため、音圧がさらに高まります。ホーンスピーカーは、倉庫や工場などの騒々しい屋内エリアや屋外設備での使用に適しています。ポールや壁に取り付けることが可能です。

  • キャビネットスピーカー: 中程度の音圧レベルを特徴とするAxisネットワークキャビネットスピーカーは、病院、学校、小売店舗、オフィスビルなど、騒音の少ない場所での使用に適しています。屋内でも半屋外でも使用でき、雨天時でも濡れないように、屋根の下に取り付けることができます。壁、天井、吊下げキットを使って、縦方向または横方向に取り付けることが可能です。

  • シーリングスピーカー: 中程度の音圧レベルを特徴とするAxisネットワークキャビネットスピーカーは、病院、学校、小売店舗、オフィスビルなど、騒音の少ない屋内での使用に適しています。吊り天井に取り付けることが可能です。ほとんど目立たないので、環境にうまく適応させることができます。

  • ミニスピーカー: 低い音圧レベルを特徴とするAxisネットワークミニスピーカーは、病院、学校、小売店舗、オフィスビルなど、より静かな屋内での使用に適しています。小型で目立たないため、狭い空間に適合します。また、音声到達範囲が広いため、必要なスピーカーの台数が少なくてすみます。動体検知用のPIRセンサーを搭載したこのミニスピーカーは、人物が接近した際に音声メッセージが自動再生されるように設定することができます。

音声システムデバイス

音声システムデバイスにより、アンプの有無に関わらず、アナログスピーカーシステムなどのレガシー機器とネットワーク音声機器を組み合わせることが可能となります。そのため、一度にすべての機器を入れ替えなくても、ネットワーク音声システムのメリットを得ることができます。Axisは、ネットワークアンプとネットワークオーディオブリッジの両方を提供しています。

  • ネットワークオーディオアンプ: これは、1つまたは複数のアナログスピーカーを接続するための小型デバイスです。アンプとスピーカーは、関連するすべての側面で、ネットワークスピーカーとして機能します。このように接続されたパッシブスピーカーは、音声管理システムを介して管理することができます。ネットワークスピーカーとパッシブスピーカーの両方を1つの場所から制御および管理でき、パッシブスピーカーにもシステムヘルステストを実行することが可能です。ネットワークオーディオアンプにはアンプが内蔵されており、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)とPoEが搭載されています。

  • ネットワークオーディオブリッジ: ネットワークオーディオブリッジにより、アナログ音声システムとネットワーク音声システムを接続して結合することができます。アナログ接続とデジタル接続の両方のポートを備えたこのオーディオブリッジにより、ネットワークスピーカーをアナログ音声システムで使用すること、およびアナログ音声ソースをAxisネットワーク音声システムで使用することが可能となります。1台のネットワークオーディオブリッジを数百台のスピーカーに使用することができます。オーディオブリッジは、PoEで電源供給できますが、通常の電源も使用することが可能です。

音声管理システム

音声システムにおいて、デバイスと音声コンテンツの管理は重要な要素です。適切な音声管理ソフトウェアを使用することで、スケジューリング、ゾーニング、コンテンツを容易に制御および更新できるだけでなく、ユーザーアクセスを管理して、サイバーセキュリティ対策を確実に講じることができます。

Axisは、ネットワーク音声システムを効率的に管理・制御できるソフトウェアを提供しています。そのため、ニーズに応じて、さまざまなサイズと複雑性の製品から選択することができます。

  • AXIS Audio Manager Edge: この管理ソフトウェアは、Axisのすべてのネットワーク音声スピーカーに組み込まれています。これにより、各スピーカーは完全なオールインワンサウンドシステムとなるため、個別のソフトウェア管理サーバーは必要ありません。AXIS Audio Manager Edgeは、それほど複雑でない中小規模のサイトのユースケースに適しています。最大20のゾーンで最大200個のスピーカーを管理することができます。

  • AXIS Audio Manager Pro: この管理ソフトウェアは、より大規模で高度なユースケースを対象としています。単一のインターフェースで、多くのゾーンと数千個のスピーカーを管理することができます。これにより、長期スケジューリングや高度な優先度設定が容易に実現します。

音声管理ソフトウェアの最も重要な機能が以下に要約されています。

音声ゾーン管理

サイトに多数のスピーカーが設置されている場合は、サイトをゾーンに分割して、複数のゾーンでコンテンツを放送することが可能となります。たとえば、複数の教室にスピーカーが設置されている学校では、各教室をゾーンで分けることができます。これにより、個々の教室や複数の教室、または学校全体にアナウンスを行うことが可能となります。IPベースのソフトウェアの場合は、新しいゾーンを追加しても、アナログシステムのように追加の配線が必要になるわけではないため、追加コストは発生しません。

音声ゾーンを管理する方法と場所については、さまざまな選択肢があります。

  • Axisネットワーク音声製品への統合各Axisネットワーク音声製品には、音声ゾーン管理のための基本機能が統合されています。スピーカーにより、個別に、別々のグループに、または同時に全員にアナウンスを行うことができます。AXIS Audio Manager Edgeを活用することで、物理的な場所やコンテンツによってゾーンを管理することが可能となります。これにより、ゾーンによるアナウンスを行う機会が無限に広がります。

  • AXIS Audio Manager Proへの統合: 1つのサイトで20以上のゾーンを管理する必要がある場合は、AXIS Audio Manager Proを使用することが勧められます。この管理ソフトウェアでは、100以上の音声ゾーンがサポートされています。

  • PBX/電話通信システムへの統合Axis IPスピーカーをPBX環境に統合する場合は、PBX管理プラットフォームでゾーン管理を行うことができます。すべてのAxisネットワーク音声製品はSIPと互換性があるため、これはPBXの観点からSIP電話クライアントと見なすことができます。この場合は、音声ゾーンごとにPBXサーバーに1つの通話グループを設定するだけで済みます。そして、各ゾーンのリーダースピーカーのSIPアドレスを、対応する呼び出しグループに追加します。これは、複数の遠隔地に同時にアナウンスを発信する場合などに適したソリューションです。これらを1つの呼び出しグループにグループ化して、そのグループに電話をかけるだけで済みます。

  • サードパーティ製ソリューションによるゾーン管理: 一部のAxisパートナーも管理ソリューションを提供しています。

コンテンツ管理

音声管理システムにより、非常に柔軟にコンテンツゾーンを構築することができます。物理ゾーン、コンテンツゾーン、デバイスを組み合わせて、何をどこで再生するかを完全に管理することが可能です。

通常、PAシステムを利用することで、スケジュールに従って、またはトリガーされた際に、ライブアナウンスや事前録音メッセージを流すことができます。また、ラジオやBGM業者などの曲をBGMとして流すこともできます。

スケジューリング

特定のコンテンツを流す時期と場所をスケジュール設定することができます。人に案内を提供する重要な情報を、戦略的な間隔でスケジュール設定して流すことが可能です。たとえば、学校や生産施設などで休憩時間を知らせるチャイムを鳴らすこと、また統合されたスケジュール機能を使用してクリップの再生をスケジュール設定することができます。小売店舗などで音声のコマーシャルを流す場合は、これを音声クリップとしてスケジュール設定することも可能です。

高度な例外処理やフォールバックスケジューリングといった高度なスケジュール設定を実行できる音声管理システムも存在します。

コンテンツの優先順位付け

コンテンツに優先順位を付けて、緊急メッセージを発信する必要性が発生した場合は、他にスケジュールされている放送が中断されるように設定することができます。スケジュールされたコンテンツ(アナウンス、広告、BGMなど)とトリガーされるメッセージの間で柔軟に優先順位を付けることが可能です。また、呼び出しを常に他のコンテンツよりも優先させるなど、異なる音源(ラインイン端子、呼び出し、インターコム)の中で優先順位を付けることもできます。

ヘルスモニタリング

システムエラーが発生した場合は、それをリモートで検知することができます。管理システムのダッシュボードからデバイスのステータス、システムのステータス、ストリーミングのステータスを確認することが可能です。また、問題が発生した場合にアラートが発信されるように設定することもできます。これにより、ファームウェアとハードウェアが期待通りに機能していること、またデバイスが切断されていないことを常に確認することが可能です。自動スピーカーテストを通じて、スピーカーをテストすることもできます。これは、スケジュール設定することも可能です。

ユーザー管理&アクセスコントロール

音声管理システムを活用することで、グループ、ユーザー、役割を作成して、誰がどの機能にアクセスできるかを制御することができます。各ユーザーに一意の名前とパスワードを割り当て、ユーザーを複数のグループに追加することも可能です。グループ内のユーザーがアクセスできるアプリを選択することができます。管理者、コンテンツマネージャー、他のユーザーのアクセス許可が異なるため、適切にアクセス許可を割り当てるだけで、誰が何にアクセスできるかを制御することが可能となります。

ITセキュリティ

Axisネットワーク音声システムでは、接続を暗号化することでネットワーク攻撃対策を講じています。Axisスピーカーでは、IEEE 802.1Xがサポートされています。これにより、未許可のデバイス接続からネットワークが保護されます。多くの場合、ネットワークスピーカーは公共スペースに設置され、オープンにアクセス可能なネットワークソケットによりセキュリティリスクがもたらされる可能性があるため、ネットワーク音声アプリケーションではIEEE 802.1Xが重要な役割を果たします。

Axis音声デバイスでは、HTTPS(ハイパーテキスト転送プロトコル セキュア)経由で通信が行われます。つまり、HTTP接続とデータ自体が暗号化されるということです。

デバイスで最新のファームウェアバージョンが使用されていることを確認してください。最新のファームウェアバージョンには新たに発見された脆弱性のセキュリティパッチが含まれているため、最新バージョンを使用することで、新機能や更新情報にアクセスできるだけでなく、デバイスの一般的なリスクも軽減されます。署名付きファームウェア機能により、インストールするファームウェアが改ざんされていないことが保証されます。

アカウントへのアクセスには、最小特権アカウントの原則を適用する必要があります。つまり、ユーザーアクセス権限を、特定タスクを実行するために必要なリソースに制限するということです。

展開ユースケース

柔軟性の高いAxisの放送設備システムでは、多くのユースケースが可能となります。この最終章では、一般的な展開の例をご紹介します。

教育

学校では、生徒に新しい規則を通知する、また封鎖や避難時に生徒の安全性を維持するなど、広範にわたる目的にPAシステムを利用することができます。学校環境には多くの要件があるため、多くの場合、かなり複雑です。

  • 複数ゾーンでのアナウンス

  • 複数の音源

  • スケジュールされたコンテンツとスケジュールされていないコンテンツの混在

  • 他のシステムやデバイスによってトリガーされた情報

  • 異なるコンテンツ(内部と外部)のメッセージの同時発信

考慮事項:

主要ユースケースを明確化してください。保護、通知、案内、複数の方法における音声の利用など、主な目的を明確にする必要があります。ニーズと要件によってシステムの設計が異なります。

デバイスの設置を計画する際に、周囲の音のレベル(騒音)を考慮に入れてください。部屋、ホール、廊下のサイズに合わせて、十分に音声が届くように構成する必要があります。

ソリューション:

AXIS Audio ManagerとAxisネットワークスピーカー、Axisネットワークオーディオブリッジ、2N SIP Micを組み合わせることで、学校のユースケースのすべての要件を満たすスマート音声システムを構築することができます。

AXIS Audio Manager Proにより実現する事柄:

  • ゾーン管理: スピーカーをさまざまなゾーンにグループ化することができます。1つの建物に複数ゾーンが必要な場合も、キャンパス構内の複数の建物に複数ゾーンが必要な場合も、すべてをソフトウェアで設定することが可能です。1つのスピーカーを複数ゾーンに接続することができるため、これは特に便利です。これにより、ゾーンに複数のレイヤーを構築することができます。

  • 音声コンテンツ管理: ライブアナウンスと事前録音メッセージを、簡単に管理および設定することができます。2N SIP Micを利用することで、複数ゾーンで複数の事前録音メッセージを流すことができるだけでなく、すべてのゾーンで、アナウンス、局部的な音楽、ストリーミングコンテンツを手元で処理することが可能となります。

  • スケジューリング: アナウンスとチャイムの発信を長期間スケジュール設定することができます。スケジュールの規則を作成することも可能です。これにより、音声を事前に調整する柔軟性が得られます。

  • 音声コンテンツの優先順位付け: 校長からの重要なライブのお知らせや緊急時にトリガーされるアナウンスの優先度を高く設定するだけで、こうした重要なメッセージが流れる際には、スケジュールされている他の放送が中断されます。

1つの場所の単一のユーザーインターフェースですべてを操作することができます。

都市

そのニーズに応じて、都市でもさまざまな方法でPAを使用することができます。犯罪や破壊行為が問題となっている区域では、PAを活用することで、多くの場合、検知された時点で事態の悪化を防止することができます。環境面の脅威に直面している都市では、PAにより、住民の避難を誘導し、状況を継続的に通知することが可能となります。また、フェスティバルや休暇により、都市で交通量が増加した場合は、PAを利用して、人々を誘導することで、交通の流れを管理することができます。

一般的な要件:

  • 緊急時の放送

  • 抑止力

  • 情報通知

  • 音検知

考慮事項:

ネットワークインフラ、およびこれによりスピーカーの配置にもたらされる影響を検討してください。すでにカメラが設置されているポールをうまく活用してください。また、PAを他社システムと統合する必要性が発生する可能性もあります。

ソリューション:

  • Axisホーンスピーカー:I/Oと双方向通信機能を搭載した屋外スピーカー

  • Axisページングマイク

  • 分析機能を搭載したAxisカメラ

  • AXIS Audio Manager Proまたは他社製の一斉通知システム

  • ビデオ管理ソフトウェア(VMS)

こうしたデバイス、アプリケーション、ソフトウェアを使用することで、監視対象と非監視対象の両方のシステムを設定して、事前録音メッセージやライブアナウンスを流すことが可能となります。センサーや他のデバイスにより組み込みのI/Oをトリガーして、音声メッセージを流して警告、指示、案内を発信することができます。スピーカーの内蔵マイクでは音声を聞くこともできるため、これにより状況を注意深く監視することが可能となります。

重要インフラ施設

PAシステムにより、運用の中断を防止し、サイトの安全性を確保することで、重要インフラを保護することができます。一般的な要件:

  • 周辺保護

  • 出入りの制限

  • 緊急時の放送

  • 安全に関する通知

  • 情報と案内

考慮事項:

設置を計画する際は、周囲の騒音を考慮に入れてください。必要な範囲に十分に音声が届くように、スピーカーの戦略的な配置を工夫する必要があります。PAを他社システムと統合する必要性が発生する可能性もあります。

ソリューション:

  • Axisページングマイク

  • 分析機能を搭載したAxisカメラ

  • Axisホーンスピーカー:I/Oと双方向通信機能を搭載した屋外スピーカー

  • 音声クリップ、ライブメッセージ、スケジュールアナウンスをトリガーする音声管理、ゾーンベースのコンテンツ管理、ユーザー管理機能

  • AXIS Audio Manager Proまたは他社製の一斉通知システム

  • ビデオ管理ソフトウェア(VMS)

小売店舗

小売店舗では、一般的にPAシステムは、ライブまたはスケジュールされた販促コンテンツや顧客情報を流すことで運用効率を改善する目的などに使用されますが、セキュリティに関連するメリットもあります。たとえば、スタッフが援助を求めるために使用できるように設置することができます。インターネットラジオ、ラインイン端子、SDカード、サードパーティのシステムからストリーミングして、BGMを流すためにシステムを利用することも可能です。

考慮事項:

敷地全体に均一な音声が流れるようにスピーカーの配置を検討し、快適な顧客体験を提供するために適切に音量を調節してください。

ソリューション:

  • デバイス統合管理システム「AXIS Audio Manager Edge」を活用することで、ゾーニング、音量調節、スケジュールされたアナウンスと広告、ユーザー管理が実現します。

  • AXIS Site Designerで設計に関する情報やヒントをご覧ください。

  • Axisページングマイク

  • SIP PBXとVMSとの統合

  • AXIS People CounterやAXIS Occupancy EstimatorなどのACAPアプリケーションを使用します。