Axisポジショニングユニットにより実現するスムーズな動き

11月, 2023

概要

Axisのポジショニングカメラとポジショニングユニットを活用すれば、精巧なモーター制御により、スムーズなパン・チルト動作が実現します。カメラの動きの滑らかさは、低速で測定された速度の標準偏差を使用して定量化されます。Axisのポジショニングカメラとポジショニングユニットの標準偏差は、±0.01°/s未満と測定されています。この数値が非常に小さいため、カメラの動きにはジャークが起こらないと捉えられます。

はじめに

Axisのポジショニングカメラとポジショニングユニットにより、スムーズなパン・チルト動作が実現します。パノラマビューで超低速に動く場合も、検知された事態を瞬時に特定するために高速で動く場合も、カメラやポジショニングユニットのパン・チルト動作は均一で、目に見える揺れは発生しません。

本ホワイトペーパーでは、Axisにおける動きの滑らかさの測定方法、および当社がその方法を選択している理由についてご説明します。また、速度の変動によりもたらされる視覚体験への影響についても詳しく取り上げます。動きの滑らかさまたはジャーキネスは、標準偏差として定量化されます。最終セクションに、この標準偏差の定義の説明と計算例が含まれています。

動きの滑らかさの測定

Axisでは、カメラの動きの滑らかさは、低速で測定された速度の標準偏差を使用して定量化しています。標準偏差は、一連のデータ値が平均値からどの程度外れているかを計算するために一般的に使用される実績ある指標です。

Axisのポジショニングカメラで発生する変動の標準偏差は、±0.01°/s未満と測定されています。高度なモーター制御により、この変動が非常に小さいため、カメラの動きにはジャークが起こらないと捉えられます。

速度の変動とジャーキネスの知覚

静止した物体の上にカメラを設置して、低速でパンすると想定してください。速度が一定であれば、画面上で被写体が各フレーム間で同じ距離を移動しているように見えます。被写体は常に期待通りに、前のフレームから予測された場所に表示されます。

カメラのパン速度が完全に一定ではなく、最後にジャークが起こると、被写体がフレーム間で不均等な距離で移動しているように見えます。つまり、予想される場所とは別の場所にジャンプしているように映るのです。

  1. 一定かつ滑らかなカメラのパンにより、スムーズな映像が生成された場合
  2. 不規則なパンで最後にジャークが起こったことにより、被写体が突然予期せぬ動きをしたように見える場合

速度の変動が大きいほど(振幅が大きいほど)、より目立ち、変動の継続時間が長いほど、発生する視覚的な不快性が高くなります。こうしたばらつきを示す物差しとなる標準偏差は、ジャーキネスを定量化する上で非常に適した指標となります。

移動する人物・物体を監視する場合は、その人物・物体が常に画像の中央に表示されるようにカメラを設定することができます。この場合、カメラの動きの速度が一定でないと、被写体が映像の中央に留まらなくなります。背景が不規則に動けば視覚的な不快感が発生し、知覚できるジャーキネスが増大します。

カメラでは、その動きにさまざまなタイプの速度変動が発生する可能性があります。

  1. 正弦波速度変動。このタイプの変動は、大半のモーションシステムである程度発生します。
  2. 外乱による不規則な変動。1つ目は対称の変動、2つ目は非対称の変動。こうした不規則な低下やピークは、瞬間的な負荷や摩擦の増加などによって発生する可能性があります。これには常にプラスとマイナスの要素の両方が含まれます。
  3. 進行と停止を交互に繰り返す動き。完全に静止してはまた動くという動作が短時間の周期で繰り返されます。動きが一定であると想定されている場合は、静止中に失われたすべての動きを補うために、ピークが常に高くなります。

標準偏差の計算方法

標準偏差は、一連のデータ値が平均値からどの程度外れているかを定量化するために一般的に使用される実績ある指標です。標準偏差は通常、小文字のσ(シグマ)で表されます。

一連のデータ値の標準偏差は、以下の式で定義されます。

σが標準偏差、xiがデータ値、μが平均値、Nがデータの個数となります。データ値を多数のサンプルから取っている場合は、やや異なる定義を使用できることに注意してください。以下の手順で計算します。参考として、データサンプル、平均値、誤差、標準偏差が示されている以下のグラフを参照してください。

  1. データ値の平均を計算します。

  2. 各データ値の誤差(データ値と平均値の差)を計算します。

  3. 各誤差を二乗します。こうすることで、すべてが正の値になるため、お互いに相殺されることがなくなり、大きな誤差がより強調されます。

  4. 二乗誤差の平均値を求めます。これが分散σ2です。

  5. 分散の平方根を求めて、標準偏差を出します。

以下に、σ=1、σ=2、σ=0.5とした場合の3つの例が示されています。例を比較して、標準偏差が値のばらつきとどのように直接相関しているかを視覚的にご覧ください。

    標準偏差が1のデータ
  1. データ値
  2. 平均値
  3. 誤差
  4. +/- σ

    標準偏差が2のデータ
  1. データ値
  2. 平均値
  3. 誤差
  4. +/- σ

    標準偏差が0.5のデータ
  1. データ値
  2. 平均値
  3. 誤差
  4. +/- σ