ワイドダイナミック レンジ
概要
非常に明るい部分と非常に暗い部分が混在するシーンは、カメラにとって難しい条件です。セキュリティにおける、このようなワイドダイナミックレンジ (WDR) シーンの典型的な例としては、屋外からの光と暗い屋内のコントラストが大きいエントランスのドア、パーキングガレージ、トンネルなどがあります。直射日光が当たり、強い影ができる屋外シーンも困難が伴います。
カメラがシーン全体をより明確に再現できるよう、複数の手法が開発されています。あらゆるシーンと状況に最適な技術はありません。すべての手法にはアーティファクトと呼ばれる視覚的な画像の乱れを含め、難点があります。
アクシスでは複雑なシーンの画像処理において画期的な改善を実現する、2つの現場検証用ソリューションを含め、さまざまなWDRソリューションを提供しています。明るい部分を過度に露出させることなく、シーンの暗い部分で詳細を表示するという他にはない能力を発揮し、卓越した検証上の価値を有する画像を生成します。
Axis WDRソリューション:
Forensic WDRは、2つの露出レベルとローカルコントラスト補正手段を組み合わせたソリューションです。検証用途における有用性を最大限に引き出すよう調整された画像を提供します。最新世代の画像処理アルゴリズムを採用したこのテクノロジーは、目に見えるノイズや画像の乱れを効果的に低減します。Forensic WDRは、動きのあるシーン、そして超高解像度カメラでの使用にも適しています。
WDR - Forensic Captureは、2つの露出レベルとローカルコントラスト補正手段を組み合わせたソリューションです。検証用途における有用性を最大限に引き出すよう調整された画像を提供します。
WDR - Dynamic Captureは、露出時間の異なる画像を合成するデュアルエクスポージャーという手法を使用します。ダイナミックレンジは動きやちらつきなどに関連するアーティファクトによって制限されます。
WDR - Dynamic Contrastは、ダイナミックレンジはかなり制限されているものの、アーティファクトがほとんどないコントラスト補正手法を使用します。単一の露出レベルのみを使用するため、このソリューションは動きの多いシーンで優れたパフォーマンスを発揮します。
一部のAxisカメラは、ダイナミックレンジを拡張するために、さまざまな方法の不特定な組み合わせを使用します。これらのカメラでは、WDRソリューションは各カメラに合わせて調整されており、データシートなどの製品情報には「WDR」と表記されています。
カメラのダイナミックレンジ性能は通常dB値で表されますが、実際のWDR性能は測定が難しく、シーンの複雑さ、シーン内の動きの量、カメラの画像処理能力などの要因によっても異なります。
アクシスでは、高dB値ではなく、検証用途における有用性と画質を優先しています。そのため、特定のダイナミックレンジを持つアクシスのカメラは、よりdB値が高い他社のカメラよりも優れた性能を発揮することができます。
はじめに
監視カメラには従来、ダイナミックレンジが広いシーン、すなわち光源レベルの差が大きいシーンに対応するのが難しいという問題があります。このホワイトペーパーでは、カメラの限定されたダイナミックレンジの背景にあるテクノロジーや、優れたWDR性能を実現するための一般的な方法について説明するとともに、検証用途における最大限の価値と有用性を備える映像を提供するAxis WDRソリューションを紹介します。
ワイドダイナミックレンジシーン
ダイナミックレンジとは、シーンまたは画像における最も暗い領域と最も明るい領域の光源レベルの差を表します。つまりダイナミックレンジが広いシーンには、非常に明るい領域と非常に暗い領域が同時に含まれています。監視における典型的な例には以下のようなシーンがあります。
日光の差す屋外と暗い屋内の間のエントランスのドア
屋外に日光が差し、屋内の光源レベルが低いパーキングガレージやトンネル
直射日光が当たり、強い影ができる屋外のシーン
窓から多くの反射光が当たっているオフィスビルやショッピングモール
以下の画像は、WDR機能を搭載していない監視カメラを使用してとらえたダイナミックレンジが広いシーンの例です。

カメラはどちらの露出時間を使用するかに応じて、照度が高いエントランスと屋外、もしくは照度が低いガレージの屋内のいずれかを可視化することができます。WDR非搭載のカメラでは、1つの画像でシーンの全詳細をとらえることはできません。
以下の画像では、露出時間の長い画像に露出時間の短い画像が、露出時間の短い画像に露出時間の長い画像が挿入されています。WDR非搭載のカメラでは、シーン内の重要な被写体がとらえられていないことがわかります。

シーンの全詳細をとらえるためには、WDR機能を持つ監視カメラが必要です。1つの画像で2つの極端な領域、つまり光のよく当たるエントランスとパーキングガレージ内の暗い領域両方の詳細を鮮明にとらえることができるカメラです。しかし、WDR機能非搭載のカメラでは、多くの要因によりダイナミックレンジが制限されます。
カメラのダイナミックレンジの物理的な限界
カメラのダイナミックレンジが限られている主な理由は、光がカメラのセンサーにどのように取り込まれるか、画像がどのように処理されるか、また光自体の性質に関連しています。より専門的な用語で説明すると、ダイナミックレンジは、ピクセルサイズ、露出時間、ノイズ、そしてビット深度に依存します。
ピクセルサイズと露出時間
光は、光子と呼ばれるエネルギーのかたまりで構成されています。シーン内の光の強度が高まると、より多くの光子がカメラに向かって移動します。しかし、カメラのイメージセンサーが露出間隔ごとに検出できる光子の数は限られています。
イメージセンサーは、入射した光子を電子に変換することのできる、ピクセルと呼ばれる何百万もの感光性の点で構成されています。カメラが画像を形成する際、各ピクセルの電子数を測定し、キャプチャーしたシーンの異なる部分における光源レベルに関する情報を提供します。
各ピクセルは一定の大きさを有し、飽和するまで特定の数の電子のみを保持することができます。ピクセル数を最大限に高められればよいのですが、最新のカメラではコスト上の理由から、センサーの合計サイズを抑えて、ピクセルの大きさを効果的に制限しています。
ダイナミックレンジが広いシーンでは、露出時間が長いと画像の明るい部分でピクセルが飽和状態になります。露出時間を短縮し、より短い時間で光子を収集することにより、明るい部分に光子が集まりすぎるのを防ぐことができます。しかし、露光時間を短くすると、暗い領域で収集される光子がごくわずかになってしまう場合があります。光の粒子特性、および光子ショットノイズと呼ばれる現象により、画像のこういった領域は目に見えてノイズが大きくなります。ピクセルの正しい露光時間は、信号対雑音比 (SNR)が最大化される時間です。そのため、画像の明るい部分に位置するピクセルでは、暗い領域のピクセルよりも露出時間が短くなります。
ノイズとビット深度
ピクセルレベルでは、ダイナミックレンジは最大信号をノイズフロアで割った数値と定義されます。ノイズフロアは、すべてのノイズ源の合計強度以上で識別可能な最小信号強度を決定します。一部のノイズは、電子を数えてピクセル当たりの測定値を生成するアナログ-デジタル変換器の不完全性に起因します。もう1つのタイプのノイズは光子ショットノイズで、どんなに優れた機器でも回避することは不可能です。すべてのノイズは、実際のシーンの真の明暗度を反映しないピクセル値をもたらします。
ビット深度は、1つのピクセル内の情報をキャプチャーするために使用されるビット数を表し、検出可能な光源レベルの数値を決定します。セキュリティカメラは、一般的に10ビットのビット深度を有しています。理論的には、ビット深度が大きいほど検出できる光源レベルが増加しますが、実際にはセンサーのピクセルの大きさが十分にあり、ノイズが少ない場合にのみ画質が向上します。センサーデータのノイズが大きい場合は、ビット数を増やしてもあまり効果はありません。
画像の表示
ビット深度については、セキュリティ担当者が監視映像を見る典型的なモニターのビット深度は、カラーチャネル当たりわずか8ビットであることに留意することも重要です。これは、優れたWDR性能を実現する上で、センサーの10ビットからモニターの8ビットに変換するアルゴリズムが極めて重要であることを意味します。
カメラのダイナミックレンジを拡張する一般的な方法
カメラのダイナミックレンジの限界を回避し、WDR画像処理を実現するための、さまざまな方法が開発されています。これらの方法は、より良い結果を引き出すために組み合わされることがあります。どの方法も異なる視覚的な画像の乱れ、いわゆるアーティファクトを引き起こすため、あらゆるアプリケーションに最適な方法はありません。あるアプリケーションで目に見えないアーティファクトが、別のアプリケーションにとって致命的な問題となる場合があります。発生頻度の高いアーティファクトの説明については、第7章を参照してください。
2つまたは複数の露出の使用
合成アルゴリズムを使用することにより、異なる露光時間でキャプチャーされた複数の画像を組み合わせて1つの単一画像を形成することができます。これは、ダイナミックレンジを拡張する最も一般的な方法です。しかしこの方法では、連続的なキャプチャーにより、シーン内の動きに起因するアーティファクトが発生します。一般的には、被写体がキャプチャー間を移動した場合に、光源のちらつきや急速な動きが問題となる可能性があります。画像処理によってもバンディングノイズが発生することがあります。よって、アーティファクトには以下のような例があります。
ちらつき
動きによる画像のブレおよびゴースト
騒音
2つまたは複数の感度のピクセルの使用
この手法では、カメラは異なる光感度を有する2種類以上のピクセルを含むイメージセンサーを使用します。これにより、1回の露出で、基本的に各ピクセルの組み合わせに対して暗い画像と明るい画像、2つの画像を作成できます。最終的なWDR画像は、これらの画像を合成して作成されます。通常は、隣接するピクセル間で許容される感度の差について固定感度比などの制限があり、この方法で達成できるダイナミックレンジは制限されます。同時露出により、動きやちらつきに関連する画像の乱れは回避されますが、代わりにその他のタイプのアーティファクトが発生する可能性があります。例えば、この方法によって生じる解像度の低下 (画像形成に使用できるピクセルが少ないため) は、画像にモアレやジャギーを発生させる場合があります。また、2組のピクセルを組み合わせる処理が複雑になり、場合によっては他の問題を引き起こすこともあります。以下は、典型的なアーティファクトです。
モアレおよびジャギー
騒音
色ずれ
ぼやけ
コントラスト補正の使用
露出不足の画像を使用し、デジタル的に最も暗い領域を明るくするデジタル方式の手段です。この方法は、キャプチャーされたダイナミックレンジを実際に拡張するものではありませんが、特に露出過度の領域において、最終画像の検証用途における有用性を向上させます。ダイナミックレンジが狭く、動きが多いシーンで非常に役立ちます。発生する典型的なアーティファクトには以下のような例があります。
暗い領域におけるバンディングノイズ
一部の領域でグレイレベルが非常に小さくなる
不自然な色
ローカルコントラスト補正の使用
カメラは従来、包括的な方法でトーンカーブを調整します。つまり、画像内のすべてのピクセルに同じ変換が使用されます。ローカル方法を使用して、センサーの異なる領域でトーンカーブを個別に調整することもできます。これはキャプチャーされたダイナミックレンジを実際に拡張するものではありませんが、コントラストを抑えることでダイナミックレンジの狭い画面でより質の高いルックをもたらすパワフルな視覚化ツールを提供します。典型的なアーティファクトは、この方法をどの程度の強さで使用するかにより異なりますが、以下のような例があります。
ゴースト
カートゥーン二ング
コントラスト不足
過剰な色
アクシスカメラのWDR画像処理
Axisは、前の章で説明した一般的な方法のいくつかをアーティファクトを低減する最先端の画像処理や手順と組み合わせ、複数のWDR画像処理用ソリューションを提供しています。
アクシスが定義するWDR性能
アクシスでは、アクシスのWDRソリューションの評価にいくつかの重要な項目を選択しました。特定の監視ケースに適したソリューションを判断するには、ケースの状況に応じてこれらの項目を個々に重み付けする必要があります。項目の評価は、実際の使用状況と主観的判断に基づきます。
項目 | 意味 |
動き | 動きおよびちらつきに関連するアーティファクトはどの程度回避できるか。 |
リーチ | 実質的なダイナミックレンジ。dB値に関連。 |
表示 | 複雑な条件下のシーンで画像はどの程度再現されているか。 |
動きの項目の評価は、サンプリング技術に関連するアーティファクトを発生させず、動きのあるシーンをとらえる能力を表します。この項目で重要な要素はちらつきの補正と、もう1つはアーティファクトの合成を回避することです。
リーチの項目の評価は、監視における画像の有用性を維持しながら、最も明るい部分と最も暗い部分との明るさの差にどの程度対応できるかを表します。
表示の項目の評価は、複雑な外光条件を再現しながら、セキュリティスタッフによるコンピュータモニター上での監視に利用可能な画像をレンダリングする能力を表します。忠実度が高すぎるとモニター監視者が詳細を確認できなくなるため、可能な限り高い忠実度でシーンを再現することは目的ではありません。
Axis WDRソリューション
通常、カメラのダイナミックレンジは、前の項で説明したリーチ項目に関連し、dB値で表されます。しかし、Axis WDRソリューションでは、典型的な監視シーンで有用性と詳細部分を提供するため、リーチよりも動きと表示の側面を優先します。この優先度は、アクシスのカメラがdB値が示すよりも優れたダイナミックレンジ画像処理を提供する場合があることを意味します。アーティファクトの低減と有用性の向上を考慮すると、dB値の低いアクシスカメラが、他社のdB値が高いカメラよりも大幅に優れた性能を発揮する場合があります。dB値に関する詳細については、第6章をご覧ください。
以下はAxis WDRソリューションの一覧です。
Forensic WDRは、2つの露出レベルとローカルコントラスト補正手段を組み合わせたソリューションです。検証用途における有用性を最大限に引き出すよう調整された画像を提供します。最新世代の画像処理アルゴリズムを採用したこのテクノロジーは、目に見えるノイズや画像の乱れを効果的に低減します。Forensic WDRは、動きのあるシーン、そして超高解像度カメラでの使用にも適しています。
WDR - Forensic Captureは、2つの露出レベルとローカルコントラスト補正手段を組み合わせたソリューションです。検証用途における有用性を最大限に引き出すよう調整された画像を提供します。
WDR - Dynamic Captureは、露出時間の異なる画像を合成するデュアルエクスポージャーという手法を使用します。ダイナミックレンジは動きやちらつきなどに関連するアーティファクトによって制限されます。
WDR - Dynamic Contrastは、ダイナミックレンジはかなり制限されているものの、アーティファクトがほとんどないコントラスト補正手法を使用します。単一の露出レベルのみを使用するため、このソリューションは動きの多いシーンで優れたパフォーマンスを発揮します。
一部のAxisカメラは、ダイナミックレンジを拡張するために、さまざまな方法の不特定な組み合わせを使用します。これらのカメラでは、WDRソリューションは各カメラに合わせて調整されており、製品情報のドキュメントには「WDR」と表記されています。
以下の表は、パフォーマンス項目に従ったAxis WDRソリューションの評価を示しています。
WDRソリューション | 動き 動きおよびちらつきに関連するアーティファクトはどの程度回避できるか。 | リーチ 実質的なダイナミックレンジ。dB値に関連。 | 表示 複雑な条件下のシーンで画像はどの程度再現されているか。 |
Forensic WDR | +++ | +++ | +++++ |
WDR – Forensic Capture | ++ | +++ | +++ |
WDR – Dynamic Capture | + | + | ++ |
WDR – Dynamic Contrast | +++++ | - | - |
この評価によると、全般的に最も優れたWDRソリューションはForensic WDRであり、WDR - Forensic Captureと比べて動きと表示の項目が共に改善されます。ただし、どちらのフォレンジックソリューションも、複雑なシーンの画像処理において画期的な改善を実現します。明るい部分を過度に露出させることなく、シーンの暗い部分で詳細を表示するという他にはない能力を発揮し、卓越した検証上の価値を有する画像を生成します。
フォレンジックソリューションの目的は検証用途上の有用性を優先させることであるため、影になったすべての部分を明るくし細部を強調することにより、ブロードキャストビデオなどの私たちが見慣れている画像とはまったく異なるルック&フィールになります。Forensic WDRカメラでは、シーンのダイナミックレンジは、詳細部分を失うことなく、大幅に狭いダイナミックレンジに圧縮されます。これにより、セキュリティセンターで担当スタッフが目に負担をかけずライブ映像や録画を見ることができるよう、映像を最適化します。
以下の画像は、2台の異なるカメラ (左側: WDR機能非搭載カメラ、右側: AxisのForensic WDR搭載カメラ) で撮影されたシーンを比較しています。Forensic WDRを使用した画像では、詳細部分が鮮明で、逆光の屋内と屋外両方を確認することができます。

dBで表記されるダイナミックレンジ性能
通常、カメラのダイナミックレンジ性能は、第5章に記載されたリーチの側面に関連するdB値として表されます。
dB値は、最も明るい被写体の明るさと、カメラでキャプチャーできる最も暗い被写体の明るさとの比率の単位です。比率が1000:1の場合、比率の対数 (この場合は3) に20を掛け、dB値は60 dBになります。
検証可能な最も暗いレベルは、センサーのピクセルのノイズフロアとして定義することができます。これは、このレベル以下の信号はすべてノイズにかき消されるためです。この定義で言うと、高品質のイメージセンサーは、通常、約70 dBのダイナミックレンジにリーチすることができます。WDRテクニックを使用すると、カメラの実際のdB値を変更することなく、実質的なダイナミックレンジまたはリーチを増加させることができます。
ただし、dB値もリーチも、カメラのダイナミックレンジの完全な能力を表現するものではありません。WDR画像の質は、どのWDR手法が使用されたか、目に見えるアーティファクトが残っているかどうか、そして画像処理の質にも依存します。これらの要素の一部は、第5章に記載された表示と動きの項目で要約されています。
下の右側の画像は、左側の画像よりも指定dB値が低いカメラで撮影されています。このダイナミックレンジが広いシーンでは、予測されるであろう結果に反し、低いdB値を持つカメラが明らかに映像監視により適した画像を生成しました。このdB値が低いカメラに、より優れた画像処理機能など、WDR性能を高めるその他の機能が搭載されていることは言うまでもありません。

WDR画像処理における画像の乱れ
この章では、最も一般的な目に見える画像の乱れとその原因について説明します。
動きによるブレ (モーションブラー)
モーションブラーは、シーン内の急激な動きにより、または単に露出時間が長すぎることにより、録画中の画像が単一のフレーム内で変化したときに発生する場合があります。ゴースト
複数の露出を使用して1つの画像を作成する場合、動く被写体が異なる場所にキャプチャーされる場合があります。これ自体が画像にゴーストのような見た目を与える場合もありますが、モーションブラーは異なる明るさの被写体によって異なるため、画像がさらに不鮮明になる可能性があります。例えば、動いている被写体は、明るい部分より暗い部分の方がより不鮮明になります。ちらつきによる画像の乱れ
照明のちらつきによって引き起こされる画像の乱れは、あらゆるタイプのカメラで発生し得ます。通常は連続的な照明の使用が想定されるため、蛍光灯のような変調光源は課題をもたらします。カメラのタイプにより、発生する画像の乱れは縞模様のように見えたり脈を打ったように見えたりします。バンディングノイズ
画像内にランダムに分布した一定量のノイズは、多くの場合問題にはなりません。しかし、デジタル処理では、ピクセル値の読み出しに技術的な困難があると、目に見える線状のノイズが現れることがあります。カートゥーン二ング
および過度な鮮明化WDR画像は、再生されたトーンに深みがあり細部が強調されているため、標準のモニターで表示するのが難しい場合があります。これにより、表示される画像が明らかに漫画的で不自然なスタイルを有する場合があります。色ずれ
すべてのピクセルが同じように処理されない方法では、間違った色や、過度な色合いなどの色の再現に関するアーティファクトが発生する場合があります。パーブルフリンジ
パーブルフリンジ (またはブルーフリンジ) は、レンズの色収差によって画像内の鮮明なエッジ周辺に紫の偽色が出る現象です。色収差は、異なる色の光がレンズ内で等しく屈折せず、センサーでわずかに位置がずれるか、または焦点がずれてしまったときに発生します。この現象は、通常、センサーのエッジ付近でより強く現れます。WDRカメラは、画像の暗い部分がよりトーンマッピングされるため、WDR機能非搭載のカメラよりも色収差の影響を受けやすいと言えます。レンズのフレアおよびヘイズ
光学レンズに光が入射すると、一部の光は正しく受光されず、レンズシステムに散乱やフレアが発生します。この光の一部は、跳ね返る光を低減するよう設計された内部の遮光環によって集められますが、一部はイメージセンサーの間違った場所に到達し、さまざまなタイプのアーティファクトを引き起こします。最も一般的なアーティファクトは、太陽のような強い光源に向いているほとんどのカメラで見られるレンズフレアです。もう1つの現象はヘイズと呼ばれるもので、画像の広い領域におけるコントラストや彩度を減少させます。これらの現象は共に画像内の強い光源、ダイナミックレンジの広いシーン、汚れたフロントガラス、レンズシステム内の埃などで特に障害となります。カメラにウェザーシールドを設置することによりフレアとヘイズが減少する場合がありますが、広いリーチを目的としたWDRカメラでは、光学システムの散乱光によって制限されます。