放送設備

6月, 2025

概要

放送設備(PA)システムにより情報を発信することで、公共、機関、商業施設のセキュリティ、安全性、運用効率が大幅に改善します。PAシステムは、日常業務や緊急時にライブメッセージ、スケジュールメッセージ、イベントトリガーメッセージを流すために使用できます。

サイトに多数のスピーカーが設置されている場合は、サイトをゾーンに分割して、複数のゾーンでコンテンツを放送することが可能となります。たとえば、学校の場合、個々の教室や複数の教室、または学校全体にアナウンスを行うことができます。

Axisの音声製品を使用し、音声入力デバイスとAxis IPスピーカーや管理ソリューションを組み合わせることで、柔軟性の高いIPベースのPAシステムをいくつかの方法で構築できます。Axisの音声デバイスはネットワークに接続されるため、システムにデバイスを追加する必要がある場合は、デバイスをネットワークに接続して設定ソフトウェアで追加するだけです。

AxisのPAには、非常にクリアな音質、デバイスの接続性、機能性を確保する制御機能が組み込まれています。緊急時や予期せぬ事態の発生時には、PAシステムがフルに機能し、即座に指示を出すことができます。

IPとオープンスタンダードに基づいて設計されているAxis PAは、警報システム、映像監視、アクセスコントロール、テレフォニーなどと容易に統合できます。これにより、システム間の自動処理が可能になります。地震検知やその他の早期警報のための他社製システムと統合することで、PAシステムを使用してすばやく公衆に知らせることができます。映像監視と統合すれば、侵入者が検知された場合に、オペレーターが口頭で警告を発することができます。他社製システムと統合できるため、新たな可能性や新しいユースケースを常に追求できる未来志向のPAシステムを構築することが可能になります。

はじめに

パブリックアドレス (PA) システムは、学校、商業施設、医療機関などでアナウンスの放送を可能にします。最新のIPベースのPAシステムは、IP音声デバイス(通常はマイクとスピーカー)およびデバイスに統合できる音声管理ソフトウェアで構成されています。お知らせはライブで放送すること、スケジュールに従って再生すること、また特定のイベントに応じてトリガーすることができます。

このホワイトペーパーでは、Axisネットワーク音声製品、標準のオフィス機器 (IP電話など)、標準のネットワークケーブルを使用してPAシステムを構築する方法の概要を説明します。IPベースのPAシステムの主な利点と機能を挙げ、主なユースケースについて説明します。これには、PAシステムの機能、使用するデバイスの種類、システムを展開する前に考慮すべき事柄が含まれます。

AxisのIPベースの放送設備

敷地の保護、従業員の安全の維持、ビジネスの最適化など、その目的に関わらず、ネットワーク音声システムは、さまざまなニーズに対応する、高い柔軟性、拡張性、信頼性を備えた単一のソリューションを提供できます。システムは使いやすくて将来性があるだけでなく、制御機能が組み込まれているため、音質およびデバイスの接続性と機能が保証されます。

シンプルかつスケーラブル

IPベースのPAシステムなら、既存のネットワークケーブルを使用して、音声入力デバイスと音声出力デバイスを接続することができます。システムにデバイスを追加する必要がある場合も、デバイスをネットワークに接続するだけで済みます。

このスケーラビリティにより、システムを容易に拡張または変更できるため、変化するニーズや要件にわけなく対応することが可能となります。

信頼性の高いサウンド

すべての機能はアクティブなIPスピーカーに統合されています。各スピーカーは、ハードウェアとソフトウェアの両方を含む完全なサウンドシステムです。デジタル信号処理は、理解しやすいクリアな音声メッセージを確保するためにあらかじめ設定されています。

すべてのデバイスはネットワークから監視できます。リモートヘルスチェックにより、システムが機能していることを確認でき、必要に応じてリモートでトラブルシューティングを行うことも可能となります。

こうした機能により、緊急時や不測の事態の発生時といった最も必要な場合にPAシステムが最適化された状態で良好に機能するように、システムの健全性を維持することができるのです。

柔軟性の高いゾーニングとコンテンツ

IPスピーカーは、物理的なケーブル接続なしに、さまざまなゾーンに分けて設置することができるため、スピーカーゾーンの管理がシンプルで、容易に変更することができます。ゾーン管理とコンテンツ管理はどちらも設定ソフトウェアで行えるため、柔軟性が高く、適切な場所で必要なコンテンツを適時に放送することが可能となります。

リモート管理できるため、ゾーニングやコンテンツを変更する必要性が発生しても、ケーブルを再配線したり、スタッフを派遣してサイトに物理的にアクセスしたりする必要がなく、ダウンタイムも発生しません。

他のシステムとの統合

IPベースのパブリックアドレスシステム活用の重要な利点は、アクセスコントロール、映像監視、火災・避難警報装置、テレフォニーなどの他のネットワークシステムやアナログベースシステムと統合できる点です。統合することで、自動化されたプロセスが実現します。

映像監視と統合したPAシステムによって、オペレーターはカメラが検知した侵入者に警告を発することができます。これは境界保護において重要です。多くの場合、監視しているという口頭の警告だけで侵入者は立ち去るためです。

Axisのパブリックアドレスは、さまざまな他社製の一斉伝達システムとも統合できます。たとえば、AXIS Speaker Functionality for Singlewire InformaCast® アプリケーションによって、AxisスピーカーはSinglewire InformaCastソリューションなどに完全に適合し、緊急警報、クリティカルイベント管理、視覚的通知、IPページングなどが可能になります。

IPベースのPAシステムはオープンスタンダードに基づいて構築されているため、統合することが可能です。そのため、新たな可能性や新しいユースケースを常に追求できる未来志向のシステムを構築することができます。

双方向音声

AxisのPAシステムは単方向通信システムである必要はありません。スピーカーにはマイクが内蔵されており、双方向のハンズフリー音声による通話が可能です。

半二重では、トランシーバーで会話するように、一度に一方向に音声を送受信 (話したり聞いたり) することができます。方向は、音声検知ソフトウェアを使用して自動的に制御されるか、押して話す (PTT) ボタンにより手動で制御されます。スピーカーとマイクが同時にアクティブになることは決してないため、エコーの問題が発生するリスクはありません。

全二重を使用すると、電話での会話と同様に、音声の送受信 (話す、聞く) を同時に行うことができます。このスピーカーは、スピーカーの音声がマイクにフィードバックされないようにすることで、フィードバックとエコーを防ぐ高度なエコーキャンセルを採用しています。

ビジュアルアラート

ビジュアルアラートをPAシステムに組み込むことで、より効果的で包括的なコミュニケーションが可能になり、アクセス性基準に適合させることができます。ビジュアルインジケーターは、音声メッセージを補完し、さまざまな環境とニーズに対応するように設計されています。

ストロボスピーカーやストロボサイレンは、特に重要なメッセージを強調するのに効果的です。LEDストロボはカラーコード化して、さまざまな強度レベルや光のパターンにプログラムできるため、さまざまなタイプのアラートを示すことができます。また、ストロボは方向に関する情報を提供でき、マイクが内蔵されている場合はハンズフリーで双方向通信が可能になるため、駐車場などの設定で特にメリットがあります。

ディスプレイスピーカーは、音声メッセージ、ストロボカラー、スクロールテキストを組み合わせてより広い対象に伝達します。これらのソリューションは、学校、医療機関、運輸ハブなどで特に効果的です。ディスプレイとストロボ機能はカスタマイズ可能なため、異なるシナリオに対応するさまざまなカラーとテキストアニメーションを提供するほか、静的テキストリマインダーやサイレントアラートの作成も可能です。

Audio Analytics

Axis音声では、情報の放送だけでなく、インシデントを検知して対応することも可能です。音声検知分析機能によって、スピーカーは怒鳴り声やガラスが割れる音などの特定の音を認識できます。これにより、オペレーターは緊急時に通知を受け、事前に録音したメッセージを流したり、ライブで呼びかけて対応することができます。

多目的使用

多目的のPAシステムは、多くの用途に適しています。

  • 安全性
    PAシステムは、重大なインシデントの発生時にライブアナウンスやトリガーされたアナウンスを流すことができます。たとえば、学校では、生徒の安全を確保するために、他社製の一斉伝達システムと統合して、重要なメッセージをスケジュールされたすべての音声出力に優先させることができます。また、公衆へのできるだけ早い通知が極めて重要な、地震検知や気象警報などの他社パートナーのシステムにPAシステムを統合することもできます。認定された火災報知器の代用にはなりませんが、AxisのPAシステムは火災報知器を補完し、関連するすべてのゾーンに対して指示を放送できるため、時間の短縮と救命につながります。

  • 運用効率
    小売店舗などでは、PAシステムを使用してライブや録音済みの情報メッセージや更新情報、音声広告を流すことができます。学校や生産施設では、休憩時間など、特定の時間にチャイムなどを鳴らすことができます。従業員をレジカウンターに派遣する、または学生を校長室に呼び出すなど、特定の場所に人を移動させることもできます。ラジオ局や音楽提供業者の音楽を再生することもできます。アナウンス中は音楽をミュートするように優先順位を設定できます。

  • セキュリティ
    PAシステムを映像監視と統合することで、映像イベントが自動的に音声クリップをトリガーするシステムを構築できます。たとえば、不審者が立ち去るように、犬の吠え声や音声メッセージを流すことが可能です。

放送設備システムのコンポーネント

Axisの製品と標準のIT機器を使用することで、音声入力、音声出力、音声管理をすべて設定することができます

音声入力デバイス

Axis製品と標準のIT機器の両方において、多くのタイプのデバイスを使用して、音声入力を実行することができます。入力デバイスの種類により、ゾーン、コンテンツ、スケジューリング、ユーザーアクセスの管理方法が異なります。

多くの音声入力用のデバイスは、電気通信およびユニファイドコミュニケーション (UC) 業界における標準的な通信プロトコルであるSIP (セッション開始プロトコル) を使用しています。すべてのAxisの音声製品はSIPと互換性があります。

IPマイクを入力デバイスとして使用

Axisのネットワークページングコンソールにより、呼び出しと双方向音声の両方が可能になります。音声ゾーンや個別の連絡先をいくつでも選択してアクセスできます。ボタンをお好みに合わせて設定し、ライブアナウンスを流したり、オンボードメモリーから音声クリップをトリガーしたり、ドアのロックを解除したりできます。このコンソールにはハンズフリー通話用のスピーカーとマイクが内蔵されており、オプションでヘッドセットまたはグースネックマイクを追加できます。

このコンソールによってサイト全体のインターコムやスピーカーとの双方向音声が可能になり、より効率的な通信が実現します。また、このコンソールはAxisオープンプラットフォームで構築されているため、他のIoTデバイスでアクションをトリガーするようにボタンを設定することもできます。

SIP電話を入力デバイスとして使用

現在、すべてのVoIP (Voice over IP) オフィス電話はSIPに対応しています。標準的なSIP電話を使用して、Axis IP音声デバイスのSIPアドレスに電話をかけることができます。

日常的な操作を容易にするために、電話機のボタンまたはボタンの組み合わせをプログラムして、SIPSデバイスのSIPアドレスを表示することが可能です。こうすれば、電話のボタンを押すだけで、PAシステムでライブアナウンスを発信できるようになります。電話機のボタンまたはボタンの組み合わせをプログラムして、音声デバイスの音声クリップをトリガーすることも可能です。

SIP PBXを入力デバイスとして使用

SIP PBX (プライベートブランチエクスチェンジ) は、従来型の交換機のように機能するハブです。これは、イントラネットやサードパーティのサービスプロバイダーでホストすることができます。SIPデバイスがSIP PBXに登録され、電話番号と内線番号を介して相互に接続することが可能となります。

PBXシステムの内線として追加することで、Axisデバイスを容易に接続することができます。単一のデバイスをSIPエクステンションとして追加したり、AXIS Audio Manager EdgeまたはAXIS Audio Manager ProをSIPトランク経由で接続したりできます。電話帳にある番号をダイヤルするだけで、単一のユニットまたは事前設定されたグループにアドレス指定することが可能です。

アプリ搭載スマートフォンを入力デバイスとして使用

AXIS Audio Managerモバイルアプリを使用してクラウド経由のページングが可能です。これにより、ページングステーションやハンドセットPAシステムがなくても、どこからでもPAシステムにアクセスできります。モバイルデバイスから一般アナウンスを流したり、音量や音声ソースを設定したりできます。

一部の他社製のSIPアプリを利用して、Axisスピーカーからアナウンスを流すことができます。電話通信やユニファイドコミュニケーション機器メーカーのほとんどは、スマートフォン用の独自のアプリを製造しています。これらのアプリがSIPプロトコルをサポートしている場合、Axisスピーカーとの互換性がある可能性がありますが、使用前に確認してください。

VMSクライアントに接続されたUSBヘッドセットを入力デバイスとして使用

AxisまたはAxisのソフトウェアパートナーのVMS (ビデオ管理ソフトウェア) を使用して、VMSクライアントに接続されたUSBヘッドセットを入力デバイスとして使用できます。VMSクライアントのヘッドセットとウェブボタンを使用して、Axisスピーカーからアナウンスを行うこと、および音声クリップをトリガーすることが可能です。この機能は、AXIS Camera StationとAxisソフトウェアパートナーの多数のVMSソリューションでサポートされています。

音声出力デバイス

スピーカー

Axisのネットワークスピーカーは、それ自体が完結している高音質の音声システムです。必要なハードウェアとソフトウェアがすべてスピーカーに内蔵されているため、効率的でスペースを取らない設置が可能で、故障の可能性も低くなります。

すべてのAxisスピーカーは、以下を備えています。

  • あらかじめ設定された内蔵デジタル信号処理による非常にクリアな音声。

  • 直感的な内蔵音声管理ソフトウェア。これは、ライブまたは録音されたアナウンス、BGM、音声コンテンツのスケジューリング、ゾーン設定、音源の優先度などに対応しています。

  • 内蔵マイクによるハンズフリー双方向音声。

  • 内蔵マイクとテストトーンを使用する内蔵テスト機能によるリモートヘルスモニタリング。

  • Power over Ethernetにより、スピーカーを電源と接続のために1本のケーブルで標準ネットワークに接続可能。

  • 音声クリップを保存するためのオンボードメモリー。

  • 追加システムや装置と統合するためのI/Oポート。

  • スタータスを示す内蔵LED (ほとんどのスピーカー)。

フォームファクタ、音圧、可能な取り付け方法は、スピーカーのタイプによって異なります。騒がしい屋外エリアで聞き取りやすいクリアなアナウンスを放送するために最適なスピーカー (ホーンスピーカーなど) や、狭いエリアに効果的なスピーカー (ミニスピーカーなど) があります。

Axisのスピーカーには、音声とビジュアルコミュニケーションを組み合わせたものもあります。スピーカーのLEDストロボライトやテキストディスプレイは、アナウンスや警報の重要度をさらに強調し、周囲の騒音レベルが高い場所で伝達を助けます。

音声システムデバイス

Axisの音声システムデバイスは、アナログスピーカーシステムなどの旧式の装置とネットワーク音声装置の組み合わせを可能にします。つまり、すべての装置を一度に交換することなく、ネットワーク音声の利点を得ることができます。

ネットワーク音声アンプは、アナログスピーカーを接続できるアクティブ音声デバイスです。デジタル信号プロセッサ (DSP) を内蔵し、パッシブスピーカーをAxis音声管理ソフトウェアから管理できるネットワークスピーカーとして機能させます。

ネットワークオーディオブリッジは、ネットワークスピーカーをアナログ音声システムで使用できるようにし、アナログ音声ソースをAxisネットワーク音声システムで使用できるようにするパッシブ音声デバイスです。1台のネットワークオーディオブリッジを数百台のスピーカーに使用することができます。

音声管理システム

音声システムにおいて、デバイスと音声コンテンツの管理は重要な要素です。適切な音声管理ソフトウェアを使用することで、スケジューリング、ゾーニング、コンテンツを容易に制御および更新できるだけでなく、ユーザーアクセスを管理して、サイバーセキュリティ対策を確実に講じることができます。

Axisは、あらゆるサイズと複雑性のPAシステムを効率的に管理・制御できるソフトウェアを提供しています。

  • AXIS Audio Manager Edge.この管理ソフトウェアは、Axisのすべてのネットワーク音声スピーカーに組み込まれています。これにより、各スピーカーは別のソフトウェア管理サーバーを必要としない、完全なオールインワンのサウンドシステムになります。AXIS Audio Manager Edgeは、最大20ゾーン、最大200個のスピーカーで構成される複雑性の低いプロジェクトを管理することを意図しています。

  • AXIS Audio Manager Pro. この管理ソフトウェアは、大規模のより高度なプロジェクト向けです。単一のインターフェースで、多数のゾーン (500以上) とスピーカー (5000個以上) を管理できます。AXIS Audio Manager Proでは、長期のスケジューリングと高度な優先順位設定を容易に行うことができます。

  • AXIS Audio Manager Center.マルチサイトシステムのリモート管理と監視のためのサービスで、少数のサイトから数千のサイトまで拡張可能です。各ローカルサイトで、AXIS Audio Manager Edgeと共に使用します。これは、クラウドベースとオンプレミスの両方のコンポーネントを採用した、便利で安定したハイブリッドクラウドソリューションです。1回のサインオンで、選択したサイトやゾーンへのアナウンス、BGM、広告のスケジュールを設定できるため、ユーザーの作業負荷が大幅に軽減されます。

  • その他のソフトウェア。 Axisデバイスはオープンスタンダードに基づいています。つまり、特定のユースケースに合わせて、Axisデバイスを他のソフトウェアと簡単に統合できます。

パブリックアドレスシステムの主な機能

音声ゾーン管理

サイトに多数のスピーカーが設置されている場合は、サイトをゾーンに分割して、複数のゾーンでコンテンツを放送することが可能となります。たとえば、教室にスピーカーが設置されている学校では、各教室をゾーンで分けることができます。これにより、個々の教室や複数の教室、または学校全体にアナウンスを行うことが可能となります。オフィス、搬入口、ステージングエリアがある倉庫でも同様にゾーンを設定し、各エリアに個別に、あるいは施設全体に放送できます。IPベースのソフトウェアを使用して新しいゾーンを追加すると、追加の配線が不要なため、アナログシステムのような追加コストは発生しません。

音声ゾーンは音声管理システムから管理できます。AxisのIPスピーカーをPBX環境に統合すると、音声ゾーンをPBX管理プラットフォームから管理できます。

コンテンツ管理

音声管理システムにより、非常に柔軟にコンテンツゾーンを構築することができます。物理ゾーン、コンテンツゾーン、デバイスを組み合わせて、何をどこで再生するかを完全に管理することが可能です。

通常、PAシステムを利用することで、スケジュールに従って、またはトリガーされた際に、ライブアナウンスや事前録音メッセージを流すことができます。また、ラジオや音楽提供業者の音楽をバックグラウンドやフォアグラウンドで流すこともできます。

スケジューリング

特定のコンテンツを流す時期と場所をスケジュール設定することができます。一般的な例は、重要な情報を含むアナウンスを戦略的な間隔で流すスケジュール設定です。たとえば、学校や生産施設の休憩時間の合図に、内蔵のスケジューリング機能を使用してチャイムの音声クリップ再生をスケジュール設定できます。もう一つの例は、小売店舗での音声広告のスケジュール設定です。スケジュール設定は局所的でも複数のサイトでも行え、変更や更新も簡単です。

一部の音声管理システムでは、高度な例外処理やフォールバックスケジューリングといった高度なスケジュール設定を実行できます。

コンテンツの優先順位付け

コンテンツに優先順位を付けて、緊急メッセージを発信する必要性が発生した場合は、他にスケジュールされている放送が中断されるように設定することができます。スケジュールされたコンテンツ(アナウンス、広告、BGMなど)とトリガーされるメッセージの間で柔軟に優先順位を付けることが可能です。また、呼び出しを常に他のコンテンツよりも優先させるなど、異なる音源(ラインイン端子、呼び出し、インターコム)の中で優先順位を付けることもできます。

ヘルスモニタリング

システムエラーが発生した場合は、それをリモートで検知することができます。管理システムのダッシュボードからデバイスのステータス、システムのステータス、ストリーミングのステータスを確認することが可能です。また、問題が発生した場合にアラートが発信されるように設定することもできます。これにより、デバイスソフトウェアとハードウェアが期待通りに機能していること、またデバイスが切断されていないことを常に確認することが可能です。自動スピーカーテストを通じて、スピーカーをテストすることもできます。これは、スケジュール設定することも可能です。

ユーザー管理&アクセスコントロール

音声管理システムを活用することで、グループ、ユーザー、役割を作成して、誰がどの機能にアクセスできるかを制御することができます。各ユーザーに一意の名前とパスワードを割り当て、ユーザーを複数のグループに追加することも可能です。グループ内のユーザーがアクセスできるアプリを選択することができます。管理者、コンテンツマネージャー、他のユーザーのアクセス許可が異なるため、適切にアクセス許可を割り当てるだけで、誰が何にアクセスできるかを制御することが可能となります。

ITセキュリティ

AXIS OSは、ほとんどのAxisネットワークデバイスで使用されているLinuxベースのオペレーティングシステムです。高いサイバーセキュリティ基準を満たすように特別に設計され、セキュア・バイ・デザインを採用しています。AXIS OSの最新バージョンには、想定される脆弱性に対するセキュリティパッチが含まれているため、常に最新バージョンを使用してください。

Axisのハードウェアベースのサイバーセキュリティプラットフォーム、Axis Edge Vaultには、暗号化キーの耐タンパー性ストレージとセキュアブート機能が備わっています。署名付きOS機能により、インストールするデバイスソフトウェアが改ざんされていないことが保証されます。

さらに、Axisのネットワーク音声は、暗号化された接続を使用してネットワークを攻撃から保護します。また、FIPS 140に準拠しています。AxisスピーカーはIEEE 802.1Xをサポートし、不正なデバイスからの接続からネットワークを保護します。IEEE 802.1Xはパブリックアドレスで重要です。オープンにアクセスできるネットワークソケットによってセキュリティリスクが高まる、公共スペースなどにスピーカーが設置されることが多いためです。

Axis音声デバイスでは、HTTPS(ハイパーテキスト転送プロトコル セキュア)経由で通信が行われます。つまり、HTTP接続とデータ自体が暗号化されるということです。

アカウントへのアクセスには、最小特権アカウントの原則を使用する必要があります。つまり、ユーザーアクセス権限を、特定タスクを実行するために必要なリソースに制限するということです。

サイバーセキュリティおよびAXIS OSについて詳しくは、AXIS OS Portalおよび「AXIS OSハードニングガイド」をご覧ください。

ユースケース

Axisのパブリックアドレスの高い柔軟性により、さまざまなユースケースが可能となります。このセクションでは一般的な運用例を紹介します。

教育

学校ではPAシステムをさまざまな目的に使用できます。これには、情報を伝達するメッセージやチャイムのスケジュールのほかに、非常時の生徒の安全を確保する他社製の一斉通知システムとの統合も含まれます。学校環境には多くの要件があるため、多くの場合、かなり複雑です。

  • 複数ゾーンでのアナウンス

  • 複数の音源

  • スケジュールされたコンテンツとスケジュールされていないコンテンツの混在

  • 他のシステムやデバイスによってトリガーされた情報

  • 一斉伝達(マスコミュニケーション)

考慮事項:

主要ユースケースを明確化してください。保護、通知、案内、複数の方法における音声の使用など、主な目的を明確にする必要があります。ニーズと要件によってシステムの設計が異なります。

デバイスの設置を計画する際に、周囲の音のレベル(騒音)を考慮に入れてください。部屋、ホール、廊下の広さに合わせて、音声が均等に届くように構成する必要があります。

ソリューション:

Axisオーディオ管理システムは、Axisネットワークスピーカー、Axisネットワークオーディオブリッジ、Axisネットワークページングコンソールと合わせて、学校でのユースケースにおけるあらゆる要件に対応するインテリジェントな音声システムを形成します。

AXIS Audio Manager Proにより、以下のことが可能です。

  • チャイムのスケジュール設定。アナウンスとチャイムの発信を長期間スケジュール設定することができます。スケジュール設定のルールも作成できるため、音声を事前にフレキシブルに調整できます。また、このシステムでは雪の日や保護者会などの行事に関して臨機応変に簡単にスケジュールを設定することもできます。

  • ゾーン管理:スピーカーをさまざまなゾーンにグループ化することができます。1つの建物に複数ゾーンが必要な場合も、キャンパス構内の複数の建物に複数ゾーンが必要な場合も、すべてをソフトウェアで設定することが可能です。スピーカーを複数ゾーンに接続することができるため、これは特に便利です。これにより、ゾーンに複数のレイヤーを構築することができます。

  • 同時再生。異なる内容のメッセージを (内外に) 同時に再生できます。

  • 音声コンテンツの優先順位付け:校長からの重要なライブアナウンスや緊急時にトリガーされるアナウンスの優先度を高く設定して、そのような重要なメッセージが流れる際には、スケジュールされている他のすべての放送が中断されるようにできます。

  • 音声コンテンツ管理:ライブアナウンスと事前録音メッセージを、簡単に管理および設定することができます。Axisのネットワークページングコンソールを使用して、複数のゾーンで録音済み複数のメッセージを再生したり、アナウンス、ローカル音楽、ストリーミングコンテンツを扱ったり、その他のさまざまな機能を実行できます。

1つの場所の単一のユーザーインターフェースですべてを操作することができます。

都市

都市内ではPAシステムをさまざまな方法で使用できます。犯罪や汚損・破壊行為の問題がある場合、検知後すぐにPAによってインシデントを未然に防ぐことができます。地震や気象現象などの災害のリスクがある都市では、避難を呼びかけたり状況を知らせるためにPAを使用し、どのような行動をとるべきかを指示できます。また、フェスティバルや休暇により、都市で交通量が増加した場合は、PAを利用して、人々を誘導することで、交通の流れを管理することができます。

一般的な要件:

  • 重要な通知

  • 抑止力

  • 情報通知

  • 音検知

考慮事項:

ネットワークインフラ、およびこれによりスピーカーの配置にもたらされる影響を検討してください。電源、インフラ、カメラがすでに設置されている柱を使用してください。PAを他社製システムと統合する必要がある場合もあります。

ソリューション:

  • Axisホーンスピーカー:I/Oと双方向通信機能を搭載した屋外スピーカー

  • Axisネットワークページングコンソール

  • 分析機能を搭載したAxisカメラ

  • AXIS Audio Manager Proまたは他社製の一斉通知システム

  • ビデオ管理ソフトウェア(VMS)

こうしたデバイス、アプリケーション、ソフトウェアを使用することで、監視対象と非監視対象の両方のシステムを設定して、事前録音メッセージやライブアナウンスを流すことが可能となります。センサーや他のデバイスにより組み込みのI/Oをトリガーして、音声メッセージを流して警告、指示、案内を発信することができます。スピーカーの内蔵マイクでは音声を聞くこともできるため、これにより状況を注意深く監視することが可能となります。

重要インフラ施設

PAシステムにより、運用の中断を防止し、サイトの安全性を確保することで、重要インフラを保護することができます。一般的な要件:

  • 境界保護

  • 出入りの制限

  • 重要な通知

  • 安全に関する通知

  • 情報と案内

考慮事項:

設置を計画する際は、周囲の騒音を考慮に入れてください。必要な範囲に十分に音声が届くように、スピーカーの戦略的な配置を工夫する必要があります。PAを他社製システムと統合する必要がある場合もあります。

ソリューション:

  • Axisネットワークページングコンソール

  • 分析機能を搭載したAxisカメラ

  • Axisホーンスピーカー:I/Oと双方向音声機能を搭載した屋外スピーカー

  • 音声クリップ、ライブメッセージ、スケジュールアナウンスをトリガーする音声管理、ゾーンベースのコンテンツ管理、ユーザー管理機能

  • AXIS Audio Manager Proまたは他社製の一斉通知システム

  • ビデオ管理ソフトウェア(VMS)

小売店舗

小売店舗では、一般的にPAシステムは、ライブまたはスケジュールされた販促コンテンツやお客様向けの情報を流すことで業務効率を改善する目的で使用されますが、スタッフが助けを呼べるといった、セキュリティに関する利点もあります。インターネットラジオ、ラインイン端子、SDカード、他社製のシステムからストリーミングして、BGMを流すことも可能です。

考慮事項:

敷地全体に均一な音声が流れるようにスピーカーの配置を検討し、快適な顧客体験を提供するために適切に音量を調節してください。

ソリューション:

  • ゾーニング、音量調節、スケジュールされたアナウンスと広告、ユーザー管理には、デバイス統合管理システムAXIS Audio Manager Edgeを使用してください。

  • 設計にはAXIS Site Designerを使用してください。

  • Axisネットワークページングコンソールを呼び出しに使用してください。

  • スタッフにAxisの音量コントローラーを使用させてください。この使いやすい音声デバイスでは、音量調節やあらかじめ設定された最大3つの音声ソースからの選択が可能です。 

  • SIP PBXとVMSとの統合を活用してください。

  • AXIS People CounterなどのACAPアプリケーションを使用して役立つ情報を確認してください。

パブリックアドレスシステムの設計・設定ツール

Axisは、オーディオの設置を容易にするためのツールをaxis.com/toolsで提供しています。

製品の検索と比較:

  • プロダクトセレクターはAxis製品の検索と比較に役立ちます。

  • AXIS Site Designerは、使用するスピーカーの種類、必要なスピーカーの台数など、音声システム (ビデオやインターコムの設置も含む) の計画と設計に役立ちます。

サイトの計画と設計:

  • 最初のステップとして、ドキュメント、スピーカーの指向角度計算のクイックガイドをお勧めします。これは、サイトに必要なスピーカーの台数を判断するのに役立つ経験則を提供しています。

  • 次のステップとして、AXIS Site Designerを使用してください。これは使用するスピーカーの種類、その配置、必要なスピーカーの台数など、設置の計画と設計に役立ちます。

  • さらに高度な設計支援が必要な場合、AxisはSpeaker datafiles for EASE® Evacを提供しています。これらのファイルは、他社製のEASE® Evac音響シミュレーションプログラムで使用でき、すべてのAxisスピーカーで音響パブリックアドレスシステムを素早く設計することができます。同様に、Axis plugin for Autodesk® Revit®を使用して、Axis製品をAutodesk® Revit® の建築設計図に配置することができます。 

システムの設置と管理:

  • AXIS Device Manager. デバイスの設定、デバイスソフトウェアのアップグレード、設定の復元、サイバーセキュリティコントロールなど、デバイスの主な設置、セキュリティ、運用タスクのすべてを管理するのに役立ちます。

  • AXIS Device Manager Extend. 統一されたユーザーフレンドリーなインターフェースが提供され、どこからでもAxisデバイスとサイトを事前対応的に管理できます。